
東京:ベーブ・ルースがプレーした歴史的な野球場と隣接するラグビー施設を解体する計画が、歴史と緑を商業スペースに転換するとして批判を浴びている。それは公園再開発の核心にある。
神宮外苑公園の再開発計画は2年半前に東京都議会で承認された。土地の造成工事は既に始まっているが、反対派はプロジェクトの停止を求め続けており、完成まで10年かかる可能性がある。
水曜日、反対派の連合は、文部科学大臣の阿部 俊子氏に、この計画の再検討を求める公開書簡を提出した。
この書簡には、都市計画家、建築家、環境科学者など 368 人の専門家と 1,167 人の署名者が名を連ねている。
天皇への賛歌
この公園区域は、明治天皇を称えるため、100年前に市民の寄付で設立された。問題の核心は、市民の公共空間の管理権と、民間開発業者や政治家が土地の価値を決定する際に生じる利益相反の可能性がある点だ。
スタジアムは歴史に満ちており、批判者は、ニューヨークのセントラルパークやロンドンのハイドパークで、公園内に高層ビルを建設することは決して許されないだろうと指摘している。
1934 年、ルー・ゲーリッグとベーブ・ルースが、バーンストーミングツアーでこの球場でプレーした。1978 年、日本の小説家、村上春樹は、この球場でビールを飲みながら試合を観戦し、その体験から最初の小説の着想を得た。この球場は、現在もヤクルトスワローズの本拠地であり、今週もコンサートが開催された。
壮大な計画
開発業者は、200メートル(650フィート)のタワー2基と小型のタワーを建設する計画だ。スタジアムは再配置されたスペースに再建され、野球スタジアムは現在のラグビースタジアムの場所に移動する予定だ。
公開書簡は、民間開発業者に公園スペースへのアクセスを認めるいわゆる民間資金調達計画を批判している。日比谷公園は東京最古の公共公園で、このアプローチのもう一つの例だ。
神宮再開発計画への反対派には、小説家の村上春樹、保存団体、植物学者や環境保護活動家が含まれ、広大な計画が地域の主要道路を彩る樹齢100年以上のイチョウの木を脅かすと主張している。
国連のユネスコと協力する国際的な保存団体ICOMOSは、開発が「文化遺産の不可逆的な破壊」を招き、木々や緑地が失われると指摘している。
開発推進派の強力なロビー活動
反対派は、強力な不動産開発会社である三菱不動産、神道団体、および東京都知事の小池百合子氏と対立している。
「問題は、多くの日本人市民が自都市の民主的な規制に興味を示さず、建物の解体に慣れている点だ」と、東京大学の政治経済学者、斎藤 幸平氏はAP通信に書いている。
彼は「政治的権力を持つ企業は、東京の魅力を、歴史、文化、住民の福祉、未来の世代を考慮せずに、短期的な利益を最大化しようとしている」と述べた。
2013年ごろ、東京が2020年オリンピックの開催権を獲得した際、東京都は地域の高層ビル建設を可能にする区域変更を実施した。これらの変更の多くは、隣接する国立競技場の建設を許可するものだったが、公園区域にも適用された。
「この区域の再開発計画は、透明性や民主的な手続きを欠き、都市計画に関する知事の裁量権を違法に濫用したものだ」と公開書簡は指摘している。
神宮地区は第二次世界大戦後、政府が神社に売却するまで「共有財産」とされていた。売却の際、共有スペースとして維持されることが約束されていた。
ラグビー会場は、政府関連機関である日本スポーツ振興センターの所有地であるため、国も関与している。ラグビー会場は、神宮外苑の約 30% を占めている。
今月の総選挙が追い風になるか
反対派は、石破茂首相が率いる少数与党の政権が、今月下旬に行われる総選挙で追い風になることを期待している。
森喜朗元首相は、ラグビー会場とつながりがある。
20年前に首相を務めたほか、日本ラグビーフットボール協会の元会長であり、2020年オリンピック組織委員会の会長も務めていたが、女性に対する差別的な発言で辞任に追い込まれた。
1926年にオープンしたこの野球場は、開発業者によると老朽化が進んでおり、保存は困難だという。しかし、ボストンのフェンウェイ・パークは1912年、シカゴのウィリー・フィールドは1914年に建設された。両施設は改修され、米国で最も尊敬されるスタジアムの一つとなっている。
神宮外苑にある歴史的な迎賓館「明治記念館」は1881年に建設され、現在も広く利用されており、解体を求める声はない。東京の三井不動産本社ビルは1929年に建設された。大阪近郊の甲子園球場は1924年に建設され、改修後現在も使用されている。
新しいラグビースタジアムは屋内施設で人工芝が敷かれる予定で、選手たちはこの芝をラグビーに最も適さないものと見なしている。
AP