東京：作家の村上春樹氏は、お気に入りのジョギング・コースや小説家になるきっかけとなった築100年近くの神宮球場を取り壊す、歴史的で愛されている東京の明治神宮外苑地区の再開発に強く反対していると述べた。

東京都の小池百合子知事が今年初めに承認した、神宮外苑地区の中心部に高層ビルや新スタジアムを建設する計画は、ますます物議を醸している。 野球やラグビーの歴史を愛する人たちだけでなく、自然保護活動家や市民団体も反対しており、このプロジェクトは透明性や適切な環境評価、住民への説明がないまま進められていると主張している。

この計画では、1964年の東京オリンピックでサッカーに使用された秩父宮ラグビー場と神宮球場の敷地を入れ替えてそれぞれ建て替えるほか、何世紀にもわたって東京の公園地区だった場所から数百本の樹木が伐採されることになる。 完成すると、新しいスタジアムは商業施設内の高さ約 200 メートル （650 フィート）の超高層ビルに囲まれることになる。

村上氏は25日のラジオ番組で「東京・明治神宮外苑地区の再開発について個人的に強く反対しています」と述べた。 「緑あふれる気持ちの良いあの周回ジョギング・コースを、そしてすてきな神宮球場を、どうかこのまま残してください。一度壊したものって、もう元には戻りませんから」と述べた。

村上氏は外野芝生席（当時）でビールを片手に、体を伸ばして観戦していた。 小説を書こうと決心した瞬間を覚えている。1978年4月1日の昼下がり、当時、万年Bクラスに沈んでいたヤクルトスワローズの米国人デーブ・ヒルトンが左翼線二塁打を放ち、「バットにボールが当たった瞬間、快音が神宮球場中に響き渡った」と2007年のエッセイ『走ることについて語るときに僕の語ること』で明かしている。

帰宅途中、万年筆をく購入して執筆を始めた。 最初の小説『風の歌を聴け』は約半年後に完成した。

村上氏は、周回約1キロ（1,093ヤード）、100メートル（109.3ヤード）ごとに印がついている外苑のジョギング・コースを毎朝ランニングしていたと述べた。 ラジオ番組の中で、いつも1人の若い女性ランナーとすれ違っていたものの、お互い逆方向に走っていたため、言葉を交わしたりせずに笑顔で会釈だけして追い抜いていくという「自身の秘密の素敵な思い出」を明かした。

週末の早朝、東京・明治神宮外苑に数百人が抗議活動に集まった。

いくつかの新設競技場が関係し、その後、贈収賄事件に揺れている東京オリンピックの約2年後、明治神宮外苑の再開発計画が物議を呼んでいる。

小池氏は、都は環境影響評価に適切に対応しており、関係企業に対し再開発に関する情報を国民と共有するよう促したと述べた。

このプロジェクトは完工までに 13 年かかるが、一部解体工事が始まっている。

工事の執行停止を求めた訴訟の初公判は週末に開かれる。

AP