• 外出制限中の家庭で不安とストレスが増加し、ドメスティック・バイオレンスの可能性が高まっている

カイロ:世界的なパンデミックとその後のロックダウンにより、中東と北アフリカに住む数百万人の子どもの精神および身体的な健康が損なわれている、と国連の児童機関が10月20日に発表した。

UNICEF (国連児童基金) によると、13,000人の児童を対象にした地域の、7カ国7,000世帯を超える調査で、回答者の90%以上がコロナウイルスの世界的な流行により子どもにマイナスの影響が出ている、と強く思っていることがわかった。

「移動規制と学校閉鎖が子どもたちの日常生活や社会的交流、また、究極には、精神衛生に厳しい影響を与えている」とUNICEFの中東および北アフリカ地域責任者テッド・チャイバンはレポート中で述べた。レポートの発表は偶然にも世界子どもの日と重なった。

児童機関の調査では、回答者の50%以上が自分の子どもは精神的、感情的に苦しんでいる、と思っていることがわかった。レポートによると、外出制限中の家庭で不安とストレスが増加し、ドメスティック・バイオレンスの可能性が高まっているという。通常、これは女性と子どもが主な犠牲者となる。

パンデミックが拡大し始めると、この地域のほとんどの政府が3月に学校の閉鎖を命じた。

夏に感染が減少傾向になると、多くの国が秋に学校を再開できるようにした。またはオンライン授業と実際の授業を組み合わせた、ハイブリッドシステムを導入した。しかし、冬が近づくにつれ、感染第2派の恐れがあり、再び学校が閉鎖される事態となる可能性がある。

調査によると、約40%の親や保護者が子どもたちの教育について不安を抱いているという。

多くの人がリソースの不足、インターネットアクセスの制限、大人によるサポートの不足、教師に直接会えないことを理由に、遠隔教育は「効果がない」として、とりやめている。

移動規制と学校閉鎖が子どもたちの日常生活や社会的交流、また、究極には精神衛生に厳しい影響を与えている。

UNICEF地域責任者テッド・チャイバン

UNICEFの調査は、2020年4月と7月にかけてアルジェリア、エジプト、ヨルダン、モロッコ、カタール、シリア、チュニジアで行われた。

8月には、国連事務局代表のアントニオ・グテーレスが「教育崩壊」を警告し、パンデミックにより発生した深刻な破壊が理由で、約2,400万人の学生が中退の危機にあることを、国連の教育機関に指摘した。

UNICEFのレポートはまた、パンデミックがこの地域の子どもに与える身体的な健康のリスクについて、警戒を高めている。

レポートによると、900万人の子どもがポリオやはしかなどの感染力の強い病気に対してワクチンを接種できないでいるという。これは交通機関の規制、感染の恐怖、近くの病院の閉鎖によるものだ。

中東・北アフリカ全体では、現在のところ、100,000人の死者を含む、400万件以上のウイルスの症例が記録されている。

パンデミックのほか、この地域の国の多くはまた、軍事衝突と内戦にも苦しめられている。これは、死をもたらすウイルスの拡大を食い止めようとする政府の努力をくじくものだ。

UNICEFはウイルスロックダウンの経済的影響を強調し、貧困に苦しむ中東と北アフリカの子どもの数が2020年末までに6,000万人を超えると警告した。これはパンデミック前の5,040万人と比較される。回答者の5人に1人が、経済状態の悪化により食料にかける費用を削らざるを得ないと答えた。また、30%の親は厳しいロックダウン中に、栄養のある食料を手に入れることができなかったと言っている。

「パンデミックが長引けば長引くほど、子どもへの影響はひどくなる」とチャリバンは述べた。

「Covid (新型コロナウイルス感染症) の影響に対処するために、クリエイティブな解決策を求め続け、心理・社会的ケアを行い、送金を含む遠隔学習と社会的保護措置によって子どもをサポートすることが極めて重要だ」

AP