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エジプト人映画監督はアラブ映画にスポットライトを当てる

マスタークラス中のエジプト人映画監督のマルワーン・ハメド氏(左)とArab Programのディレクターを務めるアントワーヌ・ハリフェ氏。(提供)
マスタークラス中のエジプト人映画監督のマルワーン・ハメド氏(左)とArab Programのディレクターを務めるアントワーヌ・ハリフェ氏。(提供)
05 Nov 2019 07:11:50 GMT9
  • 「私たちは素晴らしい映画を撮ることができます」と、ジェダで開催されたイベントでサウジアラビア人参加者を前にマルワーン・ハメド氏が語った

ムハンマド・アル=キナニ

ジェダ:日曜日、サウジアラビア芸術評議会に150人を超える映画愛好家が集まり、20年に及ぶ映画作りの経験について語る著名なエジプト人監督のマルワーン・ハメド氏に聞き入った。このマスタークラスは、2020年3月12日の正式な開幕に向けての準備の一環として、紅海国際映画祭によって企画された教育セミナーの1つとして開催された。

『Blue Elephant』の続編のチケット収入がわずか9ヶ月で620万ドルを超えたハメド氏は、集まった参加者を前に、まず「クリエイティブなストーリーテリングは1つの芸術です」と語り、その後商業的に成功したアラブ映画の資金集めの方法や制作手法の概要を説明した。

ハメド氏は『Arab News』に対して、アラブ世界の映画産業は繁栄期を迎えていると語る。

「そのため、今後はアラブ各国で映画の共同制作ができるようになるかもしれません。アラブ世界には、映画を見たいという若者が何百万人もいますし、俳優、製作者、脚本家、または監督として映画産業に加わりたいという若者も何百万人もいます。これは大変重要なことです」と同氏は説明する。

大規模なアラブ映画は資金確保も可能で、「それはアラブ世界に大きな映画産業を打ち立てる強い動機になります」と同氏は付け加えた。

「アラブ世界は言葉も共通ですし、素晴らしい映画のロケができるような突出した場所があります」とハメド氏は説明する。

エジプト人監督である同氏は、紅海国際映画祭は大きな成功を収めるだろうと予測した。「この映画祭は今後数年間で、アラブの映画祭の最高峰として位置づけられるでしょう」と同氏は語る。

2時間に及んだセミナーでハメド氏はさらに、自身とアーデル・イマーム氏やヌール・エル=シェリフ氏などのアラブ人映画スターとの関係にも言及した。また講演後、質疑応答とディスカッションの時間が設けられ、エジプトで成功している映画産業に関して意見が交わされた。

サウジアラビア人俳優のナイフ・アル=ダフェーリ氏は『Arab News』に対して、「これほど素晴らしい監督にお会いして経験から学べてとても嬉しかったです」と語った。

「マルワーン・ハメド氏は天才的な監督です。私は彼の映画を全て観ました。彼の演出スタイルに観客は畏怖の念すらいだきます」とアル=ダフェーリ氏は言う。「これほど才能豊かな人からここサウジアラビアでお話を伺えるなんて、何にも代えがたい経験です。これをきっかけにサウジアラビアの映画産業はより良いものになっていくかもしれません。

「サウジアラビアは、エジプトのように映画産業が長く根付いている国に、知識面で追いついていくことがとても重要です。私はこのマスタークラスに参加したことで、もしかするとハメド監督との共同プロジェクトに参加できるかもしれません。そうならないとは限らないでしょう?」とアル=ダフェーリ氏は語った。

第1回目の紅海国際映画祭には、周辺地域及び世界中の映画人が集結し、世界最高峰の映画、教育ワークショップ、マスタークラス、没入型のアート体験、実験的プロジェクト、及びその他の映画関連のイベントが開催される。

同映画祭では、サウジアラビアの映画産業を発展させてプロモーションし、周辺地域での才能ある人材を発掘する重要な場となり、「グローバルサウス」に力点を置いて世界中で新たな映画の潮流を支援する、という高い目標を掲げている。

地元の映画ファン、映画監督、俳優、及びメディアと映画産業のプロたちが集まり、ともに映画の良さを広め合うことになる。

紅海映画支部:TorinoFilmLabと共同で企画された脚本とフィーチャーラボ『The New Arab Wave』が同映画祭によって立ち上げられた。

同映画祭は、今年9月に開催された第1回目の紅海映画開発ラボにて、12の入選プロジェクトを発表した。16ヶ国から応募があった120ものプロジェクトの中から、多国籍の審査委員が選定を行った。

選ばれたのは6つのサウジアラビアの作品と、ヨルダン、エジプト、パレスチナ、イラク、及びレバノンから応募された6つのアラブ系プロジェクトである。ここからも、このプログラムではサウジアラビアとアラブ世界の映画産業の支援が目指されていることが窺える。

このプログラムの参加者は、プロジェクトの制作のために2枠ある各500,000ドルの資金補助をかけて競っている。また資金補助を勝ち取った作品は、2021年に開催される第2回の紅海国際映画祭でプレミア上映の機会が与えられる。

2019年3月に立ち上げが発表された同映画祭では、サウジアラビアに映画産業が根ざすことができるような地盤を固め、その過程で同国の収入の多角化に貢献することが目指されている。第1回目の映画祭は、2020年3月12日から21日まで、ジェダの旧市街で開催される。

サウジアラビアの映画産業は何十年間も停滞していたが、同映画祭はサウジアラビアで登録されている非営利の文化団体である紅海映画祭基金によって組織・運営される。同基金の総裁は文化大臣のバドル・ビン・ファルハン王子が務めており、サウジアラビア人の映画監督兼制作者のマフムード・サバーグ氏が会長を務めている。

プロジェクトの3分の1は女性のアラブ人監督からのもので、4分の1以上には女性制作者が参加している。

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