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新たなイラン核合意は交渉に行き詰まり、イスラエルに有利に働く

テヘラン南部にあるブシェール原子力発電所の前に立つイラン人労働者。(ロイター/ファイル)
テヘラン南部にあるブシェール原子力発電所の前に立つイラン人労働者。(ロイター/ファイル)
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19 Sep 2022 11:09:29 GMT9
19 Sep 2022 11:09:29 GMT9

交渉とは絶え間ない駆け引きのプロセスである。交渉が行き詰まるのは、望ましい合意に達するために克服しなければならない要因があるということを意味する。「P5プラス1」の世界大国とイランとの交渉では、イスラエルが中心的な要因となっている。交渉が中断し、特に高レベルのウラン濃縮の保有にこだわるイランを説得することが難しくなったことで、イスラエルに多くの戦略的優位をもたらした。イランと交渉している国々に、イランはとても信頼できるものではないと納得させることができる。これは、全世界がイランと取引する際の基礎となるはずである。

さらに、イスラエルは欧州の多くの国を戒め、米国の政治指導者たちに向けて演説を行い、イランには欧米との良好な関係を維持しようと考える穏健派は存在しないと述べている。イスラエルは、たとえ法的拘束のある合意に達したとしても、イランは異なる解釈をするだろうと、世界を納得させたいと強く願っている。イスラエルは、国連や国際原子力機関の職員が、イランの核開発を完全に監視することは不可能でないにしても困難であると納得してくれることを期待している。

イランの地域的な不正行為は決して変わらない、つまり、イランはシリアにおける地位と影響力を維持しながら、フーシ派、ヒズボラ、イラクでの民兵の犯罪に資金を提供し、教唆し続ける、というイスラエルと実は多くの国が同意見である。一方、イランのテロ支援によって、イスラエルは、イランをテロ支援国家リストに残しておくよう米国に圧力をかけ続けることができる。

イスラエルがイランを非難している根拠は、イランが中東を不安定化し、世界中にテロを広めようとしていることにある。

現在、イランと「P5プラス1」の間には合意が見えないので、イスラエルは安心していられる。そして、たとえ最終的にイランの核開発能力をめぐる合意がなされたとしても、それがすぐに実現するものではなく、イスラエルはその潜在的な結果を慎重に検討する十分な時間があるだろう。

イスラエルは、たとえ法的拘束のある合意に達したとしても、イランは異なる解釈をするだろうと、世界を納得させたいと強く願っている。

マリア・マーロウフ

イランとの取引は、それなりの秘密外交を伴うだろう。確かに、イスラエルはそのようなスパイ活動に大きな利害関係があるだろう。最も可能性が高いのは、イランがイスラエルのために働いているイラン人を逮捕し、内部から国を妨害することについて、より多くの発表の必要性に迫られることだろう。

とはいえ、イランの核開発能力の向上に必要な技術を提供することを思いとどまらせるために、イスラエルがロシアや中国に対してどれほどの影響力を持つかは定かでない。ロシアと中国は、イランが軍事目的で核兵器を保有しようとするのを拒否することで、イスラエルと結束するかもしれない。しかし、ロシアと中国はイランとの協力を続けている。これはイランの体制を維持するための生命維持装置に等しい。イランがロシアや中国から受け取った技術の多くは、民生用と軍事用の両方に必ず応用できる。しかし、イスラエルは、イラン・中国・ロシアという軸がこの3カ国間の協力の真の絆になることを阻止することはできない。

さらに、イスラエルは2つの矛盾した状況に直面している。イスラエルはイランに脅かされない国家というイメージを打ち出そうとしている。しかし、多くの政府関係者は、イランが民生用および軍事用の核保有国になるのではないかという懸念を表明にしている。

モサドの諜報局長で、最近までイスラエル国防省の政治軍事局長だったゾハル・パルティ氏は、昨年末の米誌「ニューヨーカー」のインタビューで、次のように語った。「イランの核開発の問題は、当面、核開発をやめさせる外交メカニズムがないことだ。イランはもう恐れていない。どのようにしてイランが90%まで濃縮することができたのかを自問自答しなければならないような事態には陥りたくはない」と。

イスラエルはイランに対する敵意を全面的に押し出すものと思われる。イスラエスがイランとの交渉に圧力をかけたいという、少なくとも2つの主張がある。それは、イスラエルの安全保障が交渉の要因であることと、米国がイランと締結する協定の詳細をすべてイスラエルに明らかにしなければならないことである。

しかし、イスラエルがイランに接近する際、他国に対して強制できることには限界がある。米国はイスラエルがイランを攻撃することを許さないだろう。それは、イラクやシリアに展開している米軍を危険にさらすことになるからである。

イスラエルの態度は、イランの核開発をめぐる野望について、米国、フランス、ドイツ、英国とのコンセンサス達成の機会を逸さないよう慎重に振舞っている。一方、イスラエルは、イランの核開発を国際的な監視の下に置くために、イランとの今後の交渉ラウンドの開催をこれらの国々が拒否するのは戦略的には不要であると分かっているのだ。

  • マリア・マーロウフ氏は、レバノンのジャーナリスト、アナウンサー、出版者、作家である。リヨン大学で政治社会学の修士号を取得。

ツイッター: @bilarakib

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