
AFP通信、エジプト・イスマイリア
スエズ運河の開通から150年が経ち、その国際的な運河は今日のエジプト経済にとって極めて重要なものとなっている。スエズ運河は1956年に国有化された。
地中海と紅海を結ぶこの運河は1869年に開通し、2015年にはより大型の船舶も通れるように拡張された。
19世紀に「原始的な道具」を使って掘られたスエズ運河は今日では「エジプトおよび世界中の国々にとってのライフライン」になっている――スエズ運河庁長官のオサマ・ラビー提督はめったに応じることのないインタビューの中でこのように語った。
ラビー提督は「私たちはこのアイデアを提案したフェルディナン・ド・レセップスを称賛します」と述べ、1859年から1869年の10年間に及ぶスエズ運河掘削計画を立案したフランスの外交官に言及した。
だが、ラビー提督はスエズ運河の建設はその計画を現実のものにしたエジプト人たちの「精神」の賜物だったと主張した。彼は次のように述べている。「全長164kmの運河を原始的な道具を用いながら10年で掘ったことは誰もが奇跡だと言うでしょう。
エジプト人の4分の1がこの掘削に参加しました。すなわち、当時の人口450万人のうちの100万人の市民たちです」。
ラビー提督は「100,000人から120,000人が死にました」と付け加えて、多数が病に倒れたことを強調した。しかし、専門家は死亡者については記録によって十分に立証されていないとして、そういった数字に異議を唱えている。
2015年には、エジプト国民がアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領によるスエズ運河拡張計画の賛成にまわって「8日間以内に640億エジプトポンド (380万ドル) の投資証券を購入」した。
ラビー提督によれば、この計画のおかげで、今では通過時間が22時間から11時間に短縮され、 一日の通過船舶数も平均で巨大タンカー40-50隻から60-65隻にまで増加した。
現在、この運河の合計通過船舶数のうち、コンテナ船が半数超を占めており、その一部は最大積載量が23,000 TEU (20フィートコンテナ換算) に到達する世界最大級のものだ。
今では200,000トン以上を運搬する巨大石油タンカーもこの運河を通過できる。当局はスエズ運河の東端に位置するシナイ半島の開発も模索している。
ラビー提督は次のように語っている。「私たちはシナイ半島との往来の促進を目的として、スエズ運河の地下に6つのトンネルを掘ってもいます。
これまで私たちは重大な決断を下すことなく、シナイ半島の開発について語りがちでした。現在は人々や投資家にとってアクセスが容易になっています」。
エジプトは461平方kmにわたって広がるフリーゾーン貿易拠点、いわゆる「スエズ運河経済区」も開発している。
ラビー提督は「スエズ運河の両岸沿いに多くのプロジェクトが存在しています」と述べつつ、船舶用の供給ゾーン、薬品工場、自動車組み立て工場を挙げた。
さらに、スエズ運河はエジプト軍による指揮のもとでで「安全が完全に確保されている」とも断言した。
ラビー提督は、北シナイにてエジプト陸軍が反政府イスラム勢力に対して継続中の戦闘行為がスエズ運河や貿易に対して「影響を及ぼすことは一切ない」と強調した。