
東京:東京五輪アルジェリア代表の柔道選手が、イスラエルの選手との対戦を回避するために大会を棄権したことで、本国へ送還されることになった。
フェティ・ヌーリン選手とコーチのアマル・ベニクレフ氏は、26日の男子73kg級2回戦でイスラエルのトハル・ブトブル選手と対戦する可能性を回避するために、大会を棄権するとアルジェリアのメディアに語った。
ヌーリン選手は、1回戦でスーダンのモハメド・アブダルラソール選手と対戦し、その勝者が第5シードのブトブル選手と対戦することになっていた。
国際柔道連盟執行部は、ヌーリン選手とベニクレフ・コーチを24日から一時的な出場停止処分としているが、両名は五輪以降にも制裁を受ける可能性が高い。その後、アルジェリア五輪委員会が両者の参加資格を取り消し、帰国させる計画を立てた。
国際柔道連盟は、ヌーリン選手の態度は「連盟の理念に完全に反する」とし、「連盟は厳格な反差別政策をとっており、柔道の価値観によって高められた重要な基本方針として、連帯を推進している」と述べた。
ヌーリン選手とベニクレフ・コーチは、自分たちの姿勢はパレスチナ人への政治的支援に基づくものだとしている。
ヌーリン選手は、2019年世界柔道選手権大会も、実績が遥かに上回るブトブル選手との対戦が組まれる前に棄権している。同世界選手権は、五輪大会の柔道競技会場である東京武道館で開催された。
国際的な統治機関である世界柔道連盟は近年、厳格な反差別政策をとっており、イスラエルの競技する権利を強く支持している。
4月にも連盟は、自国選手にイスラエル選手との対戦を許可しなかったイランに対して、4年間の出場停止処分を下した。連盟は、元イランの柔道選手であったサイード・モラエイ氏が、2019年世界柔道選手権東京大会の決勝戦で、イスラエルの世界チャンピオンであるサギ・モキ選手との対戦機会を回避するために準決勝で負けるように命じられたと主張したことから、イランの方針が明らかになったと述べている。
連盟はイランの方針を、「連盟の規則、正当な利益、理念、目的に対する深刻な違反であり甚大な侵害」であるとした。イランの停止処分は2023年9月まで続く。
連盟はこの問題の後、モラエイ選手をドイツの難民選手団に加える支援をした。そしてモラエイ選手は現在、モンゴルの代表選手となっており、火曜日に五輪に出場する。
AP