

アリ・カーレド
ドバイ:タレグ・ハメディ選手は東京オリンピック空手男子組手75キロ超級決勝戦、4対1で相手のサジャド・ガンジザデ選手(イラン)をリードしながらも、危険なプレーによるペナルティで金メダルを逃すという苦しい結末を迎えた。サジャド選手は日本武道館から担架で退場する事態に。
もちろんオリンピックの銀メダルは23歳の若者にとって驚くべき成果だが、もう少しで届くはずだった金メダルを失ったことはショックだろう。この試合では、4-0でイラン選手が勝利した。
試合開始から9秒で一本を決め、3-0とリードしたハメディは、続いて有効を決めて4点差となった。
リードを保ったまま、栄光の金メダルが目前に迫ったサウジアラビアだったが、最後にペナルティで失格という苦い結末となった。
準決勝では日本の荒賀龍太郎選手を2-0で破り、見事なパフォーマンスを見せていたハメディ選手にとって、この日は劇的な一日となった。
男子組手75キロ超級プールB初戦は、2018年世界チャンピオンのイヴァン・クヴェシッチ選手(クロアチア)に3-2の僅差で敗れたが、ハメディは経験豊富な相手にも積極的に攻める力を見せた。
ハメディは試合開始からクヴェシッチにプレッシャーをかけ、36秒以内に両者が1点ずつ獲得、その数秒後にはクロアチアが2-1のリードを奪った。
その後クベシッチ選手が3-1とリード、残り40秒を切ったところでハメディ選手が1ポイント獲得し追い上げるが、勇敢でエネルギッシュな攻撃にもかかわらず、サウジアラビアはそれ以上のポイントを得ることができなかった。
2戦目、ハメディは33歳の対戦相手を驚かせる見事なパフォーマンスで、ブライアン・イル(アメリカ)を4-1で下し、東京2020大会での初勝利を挙げた。
残り1分で最初のポイントを獲得し、1-0とリードしたハメディは、準決勝進出に向けて大きな励みとなるチャンスを手にした。
その後、残り24秒でハメディが見事な一本を決め、4-1のリードを保ったまま試合終了を迎えた。
タレグ・ハメディ選手は、このアメリカ人選手との見事な勝負に勢いを得て、この日の第3試合では、イランのサジャド・ガンジザデ選手と0-0で引き分た。
試合の大半はハメディが優勢、しかし貴重な2ポイントを獲得するための打撃を与えることはできなかった。
ただ、この引き分けによる1ポイントで、3試合で3ポイントを獲得したことになり、準決勝進出への望みは、ポールB最終戦でのダニエル・ゲイシンスキー(カナダ)との対戦に託された。
ハメディ選手は2009年に空手を始めたが、本格的に取り組むようになったのはその数年後とのこと。サウジアラビア代表団の中でも最も栄誉ある選手の一人として東京にやってきた。
15歳のとき、ウズベキスタンで開催されたアジアジュニア選手権2013で金メダルを獲得。その後、2015年にジャカルタで開催された空手世界選手権では、サウジアラビア人として初めて金メダルを獲得した。
2017年は、ハメディが触れたものすべてが金メダルになった、と言えるだろう。
75キロ級では、インドネシアで開催されたアジア選手権、クロアチアで開催されたワールドカップ、カザフスタンで開催されたU23アジア選手権とアジアシニア選手権の4つの大会で優勝。その結果、その年の「世界で最も有望な空手選手」に選ばれた。
2018年はスペインで開催されたワールドリーグ、UAEで開催されたワールドプレミアリーグ、ジャカルタで開催されたアジア大会で銅メダルを獲得し、表彰台に登る回数は増え続けた。また、ウズベキスタンで開催された「アジアシニア選手権2019」では金メダルを獲得した。
ハメディは、今年の初めにフランスで開催された東京2020空手予選で金メダルを獲得、オリンピックへの出場権を確保した。