フランク・ケイン
ドバイ:サウジアラビアの政府系ファンドである公共投資基金(PIF)を中心とするコンソーシアムが、イングランドのサッカークラブであるニューカッスル・ユナイテッドを買収することで合意した。
18ヶ月に及ぶ交渉の末、PIFは英国の金融実業家のアマンダ・ステーブリー氏と符合投資家のルーベン兄弟と共に、同クラブのオーナーであるマイク・アシュリー氏と3億ポンド(4億1000万ドル)の契約を結んだ。
弁護士をはじめとするアドバイザーたちは、イングランドサッカー界の権威、プレミアリーグが心変わりし、買収が可能になったことを受けて、木曜日の深夜から一日中、取引の最終調整を行った。
PIF総裁のヤシール・アル・ルマイヤン氏は「イングランドサッカー界で最も有名なクラブの一つであるニューカッスル・ユナイテッドの新オーナーになれたことを非常に誇りに思う」と述べた。「ニューカッスルのファンの皆様の長年にわたる多大なご支援に感謝すると共に、ファンの皆様と一緒に働けることをを楽しみにしている」と語った。
今回の買収により、ニューカッスルは、マンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンなどの裕福で献身的なオーナーの支援を受けている欧州スーパークラブの仲間入りをすることとなった。
ニューカッスルのファンは、クラブを次のレベルに引き上げるための資金が不足しており、イングランド・プレミアリーグの最下位争いにからむほど低迷していた状況で、サウジアラビア資本のオーナーに大きな期待を寄せていた。
PCPキャピタルパートナーズの最高経営責任者であるステーブリー氏は「今回の投資は長期的なもので、ニューカッスル・ユナイテッドの将来性に期待している」と述べた。「我々は、クラブ全体に統一された理念を浸透させ、明確な目的を確立し、ニューカッスル・ユナイテッドが長期的に大きな成果を上げることができるよう、リーダーシップを発揮できるよう、支援を提供するつもりだ」と述べた。
「私たちの野望はファンの皆さんと共にある。安定的に成功を収め、常に主要なトロフィー獲得を争い、世界に向けて誇りを持てるチームを作ることだ」と付け加えた。
また、PIFの支援を受けた提案では、クラブ本拠地であるセント・ジェームズ・パークのスタジアムがあるイングランド北東部のサッカー施設などに2億5000万ポンドを投じることを約束した。
NUFCの新オーナーの一員となった数分後、ジェスモンドにいるアマンダ・ステーブリー氏 pic.twitter.com/4xIlOBbyPu
— クレイグ・ホープ (@CraigHope_DM) 2021年10月7日
RBスポーツアンドメディアのジェイミー・ルーベン氏は「ニューカッスル・ユナイテッドの素晴らしい未来に期待している。ニューカッスルは素晴らしい街であり、だからこそ私たち家族は長年にわたってこの地域に多額の投資をしてきた。この素晴らしいクラブとその素晴らしいファンの一員になることは特権だ」と語った。
「また我々は、この地域に長期的に持続可能な成長をもたらすために、ニューカッスル市議会と密接に連携して取り組んできた計画に沿いながら、私たち一族のこの街に対する知識を総動員して、真のコミュニティクラブを構築する」と付け加えた。
今回の契約により、サウジアラビアは欧州サッカー界のトップの仲間入りを果たし、イングランドのプレミアリーグや欧州の主要な大会で成功を収める可能性が出てきた。
スポーツとレジャーは、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が主導する、社会、文化、経済という側面から生活を変革する王国の戦略である「ビジョン2030」の主要な2本の柱に位置付けられている。
新オーナーシップ体制では、クラブの株式はステーブリー氏とルーベン兄弟がそれぞれ10%を保有、PIFが80%を保有する筆頭株主となる。
アシュリー氏との契約は2019年4月に締結されていたが、所有権の詳細に関する法的な細かい問題や、取引を阻止しようとする他のイングランドのトップクラブによるロビー活動によって、取引は泥沼化していた。
また、カタールの放送局beINが、テレビ放映権の侵害を主張し、サウジアラビアがこれを否定した一連の騒動も、この買収を遅らせる原因となっていた
アシュリー氏は、これらの課題を解決するため、イングランド当局を相手取った裁判を起こしており、来年1月には最終的な判決が下される見通しであった。しかし、所有権の構造が明らかとなり、放送権に関する主張が解決したことで、現在までに訴訟を取り下げていたことが分かった
昨夏、PIFはプレミアリーグからの透明性の欠如を理由として、この取引から正式に撤退していた。しかし、情報筋はアラブニュースに対して、プレミアリーグが非公開の異議申し立てを取り下げた場合、この取引はまだ交渉が継続される可能性がある、と語っていた。
当時、ステーブリーは「酷い話だ。ファンの皆さんには大変申し訳なく思っている。また、ファンの皆さんには本当に感謝している。個人的にも、皆さんのあらゆるご支援に感謝している」と語っていた。
しかし、舞台裏ではステーブリー氏をはじめとするコンソーシアムメンバーは、この入札から手を引くつもりがない、とを明らかにしていた。