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トッテナム、ニューカッスルの新オーナーお披露目ムードを台無しに

ニューカッスルの先制点を喜ぶニューカッスル・ユナイテッド会長のヤシール・アル・ルマイヤン氏と共同オーナーのアマンダ・ステイヴリー氏。 (ロイター)
ニューカッスルの先制点を喜ぶニューカッスル・ユナイテッド会長のヤシール・アル・ルマイヤン氏と共同オーナーのアマンダ・ステイヴリー氏。 (ロイター)
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18 Oct 2021 03:10:50 GMT9
18 Oct 2021 03:10:50 GMT9
  • タインサイドのクラブは新たな希望に満ちているが、ピッチ上の状況に変化はもたらされなかった
  • 試合開始107秒でカラム・ウィルソンがヘディングシュートを決めホームのニューカッスルがリードを奪ったが、その後崩されてトッテナムに2-3で敗れた

リアム・ケネディ

ニューカッスル:この10日間ニューカッスル・ユナイテッドでは様々なことが起きていたが、肝心なことはほとんど変わらないようだ。

同情心の琴線が触れられ、再び火が灯され、新オーナーが就任し、新たなビジョンと共に情熱が再燃したタインサイドのクラブ(ニューカッスル)は希望に満ちているが、ピッチ上の状況に変化はもたらされなかった。

タンギ・エンドンベレ、ハリー・ケイン、ソン・フンミンによる3発のゴールはカラム・ウィルソンの先制点を打ち消し、マグパイズ(ニューカッスルの愛称)の買収祝賀パーティーをお開きにするのに十分であった。終了間際のエリック・ダイアーによるオウンゴールで点差は縮まったが、(ニューカッスル・)ユナイテッドの命運はそのまま定まってしまい、開幕からの不調が継続する結果となった。これでニューカッスルは2021/22シーズン9試合で勝ち星がなく、失点はプレミアリーグで最も多く、順位表では下から2番目に位置している。

開幕からの1ヶ月間多くの怪我がユナイテッドを苦しめてきたが、意外にも解任を猶予されプロ監督としてのキャリア1000試合目を迎える機会を与えられたスティーブ・ブルース監督は、少なくともフォワードのウィルソンとキャプテンのジャマール・ラスセルズが復帰したため不調にあえぐチームに息吹を与えることができるものと思われていた。

チームの質としてスパーズ(トッテナムの愛称)はユナイテッドのはるか先を行っており、ニューカッスルがシーズン序盤の不調から抜け出すためには観客からのとてつもない支援を必要としている状況だった。

そして超満員のセント・ジェームズ・パークの客席に前向きな明るさが溢れる中で、マグパイズは実際リードを奪ったのだ。主賓席に陣取った新オーナーたちはその模様を非常に喜んでいた。

ハビエル・マンキージョがウィルソンの頭にパスを送り、ウィルソンが今シーズン公式戦出場4試合で3得点目となるゴールを決めると、PCP キャピタルパートナーズのメルダッド・ゴドゥーシ氏はミルバーンスタンドの高い座席の一列をまたいで妻のアマンダ・ステイヴリー氏とクラブの新非常勤会長であるPIFのヤシール・アル・ルマイヤン氏を抱き抱えて喜んだ。

この光景は、法廷闘争が2年間、前オーナーのマイク・アシュリーのもとで混乱が15年間続いたあと、多くの人々が長い間待ち望んでいたものである。だがその喜びは長続きしないものだった。

ヌーノ・エスピリト・サント監督率いるスパーズはそんなムードではなく、まもなくギャローゲート・ボックス(ペナルティー・エリア)の端で完全にフリーになったエンドンベレがカール・ダーロウが一歩も動けないシュートを放ってユナイテッド・ゴールを破り、トッテナムが同点に追いついた。

トッテナムの1点目が会場の雰囲気を台無しにしなかったのであれば、2点目がそれを実現した。

ピエール・エミール・ホイビュルクから裏を狙うパスがオフサイドトラップを掻いくぐったケインに渡り、ケインは前に出てきたダーロウの頭を越えるシュートを決めた。このプレーはわずかにオフサイドと判定されていたがVARによるチェックで取り消されゴールが認められた。

それでもやる気の揺るがないニューカッスルは同点弾を狙い、アラン・サン・マクシマンがスコアを2-2にする一歩手前まで近づいた。ジョエリントンのスルーパスがこの試合すでにゴールを決めていたフリーのウィルソンに渡ったが、この場面では味方を使うことを考えたウィルソンはパスを選択し、フランス人選手サン・マクシマンはこれにわずか数センチ届かなかった。

これは結果的にユナイテッドが最も同点に近づいた瞬間だった。その後スパーズはニューカッスルのディフェンスラインに隙を見つけはじめた。

ラスセルズに空中戦で競り勝ったルーカス・モウラがソンのコーナキックに合わせたが、このヘディングシュートはクロスバーを叩いた。

ブルース監督率いるチームはこの警報が耳に入らなかったかのように振る舞い、その後すぐ代償を払うこととなった。今シーズンクラブではこの試合までゴールもアシストも記録していなかったケインが、右サイドから左へ最高のパスで相棒ソンのこれ以上簡単なものはないかのようなゴールをお膳立てした。

順調に進んでいた試合だったが、ハーフタイム直前にしばらく中断されることとなった。東スタンドにいたニューカッスルのサポーターの体調に異常が発生しそのサポーターは倒れてしまい、クラブのチームドクターであるポール・キャッターソン医師をはじめとする医療スタッフが介護して容体を安定化させる事態となっていた。

アンドレ・マリナー主審に試合を中断することを要求し、ピッチを横切ってAEDを運びサポーターを介護することを求めたスパーズのダイアーとセルヒオ・レギロンの素早い対応がなければ、さらに深刻な事態となっていた可能性もあった。

後半は前半終盤と同様な形で進み、スパーズの猛攻がごくたまにユナイテッドのボール保持で途切れる展開となった。

ノース・ロンドンのクラブ(トッテナム)はユナイテッドにトドメを刺すべく、ゴールを奪って気を良くするエンドンベレがダーロウの頭上に強烈なシュートを見舞った。

交代で入ったジョンジョ・シェルヴィが2枚目の警告を受けて10人で戦うことになったホームチームは、終盤の大部分でボール保持率が15%まで落ち込み、ほとんど流れを変えることができるようには見えなかった。

新オーナーたちが直面する課題の大きさをこれまで認識していなかったのであれば、今は認識しているに違いない。世界中の視線が彼らに注がれる中でユナイテッドはピッチ外で祝福ムードを演出していたが、それを結果に結びつけることができなかった。

ブルース監督の進退という新体制の最初の決断が今にも待ち受けているようであり、60歳になる同監督に残された時間は少ないようだ。

サポーターは明確な意思表示をしていた。勝利が遠のくにつれて「We want Brucey out(ブルーシー(監督の愛称)には出ていってもらいたいの意)」というチャントがより多く聞かれるようになっていった。シェルヴィの退場後それは怒声へと変わっていった。

キックオフ前にサポーター集団ウォル・フラッグス(Wor Flags)によって広げられた横断幕には「ここは堅固な土地に作られた偉大な街だから、奴らがいくら頑張って壊そうとも全て俺たちが作り直すのだ」と書かれていた。

古くからのジョーディー(ニューカッスルを含むイングランド東北地方出身者)で役者兼クルーナーのジミー・ネイルが地元で有名な曲「Big River」で口ずさむ歌詞であるこのフレーズは、試合開始前よりも今の方が身に沁みるものだ。

ニューカッスルは堅固な土地に作られた偉大な街であり、そのサポーター層はサッカー界の羨望の的である。再建こそ必要とされるものであるのだが、短期的にこれまでのダメージから立ち直るのはなかなかの困難となるかもしれない。

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