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レバノンは腐敗と闘うために国際的な支援を必要としている

レバノンの首都ベイルートで、機動隊員が反政府デモ隊との衝突でランチャーから催涙ガスを発射する。 (AFP)
レバノンの首都ベイルートで、機動隊員が反政府デモ隊との衝突でランチャーから催涙ガスを発射する。 (AFP)
1月19日、レバノンの抗議デモ参加者が、ベイルート中心部の議会に通じる道路を警備する機動隊に投石する。(AFP)
1月19日、レバノンの抗議デモ参加者が、ベイルート中心部の議会に通じる道路を警備する機動隊に投石する。(AFP)
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21 Jan 2020 12:01:53 GMT9
21 Jan 2020 12:01:53 GMT9

レバノン人は、腐敗との闘いをめぐって神聖な団結を行おうと決意しているようだ。サード・ハリーリー政権の崩壊につながった昨年末のベイルートにおける抗​​議行動は、同国の財政問題を浮き彫りにした。この抗議行動は経済危機の深刻化に伴い暴力的となり、土曜日には、抗議デモ参加者が議会を襲撃しようとした。

あらゆるレベルでの腐敗、資本逃避、不正財産などこの国を長年悩ませてきた不正流用のリストは切りがないが、ここはまた地域紛争が継続する場所でもある。

2018年にパリで開催されたCEDRE(レバノン経済支援のための国際的ドナー・投資家会議)などの国際会議や、EU政策の一環として、これまで何度も国際社会はレバノンの状況に注目してきた。しかし、レバノンは、依然として毎日、1日24時間、電力を確保するのに苦労しており、道路は悲惨な状態にある。携帯電話のプランは、おそらく世界で最も高価であろう。

こうしたすべての理由から、如何にして国際社会がレバノンやその新しい次期首相であるハッサン・ディアブを支援することができるかについて私たちは検討せざるを得ない。ここで、ドナー会議を改めて開催しなければならないことには疑問の余地はないが、問題となるのは、レバノン当局が、広範に蔓延した腐敗を最終的に終わらせるため、共同した行動をとるかどうかである。

トランスペアレンシー・インターナショナルによる2018年の腐敗認識指数では、レバノンは100ポイント中28ポイントという憂慮すべきスコアで、調査対象の180か国中138位にランクされた。同組織の2019年世界腐敗バロメーターは、レバノンの人々がこの状況に激怒していることを示している。68%のレバノン人が2019年に汚職が増加したと考えており、87%は政府が汚職と闘っていないと考え、89%は政府による汚職が大問題だと考えている。

2018年のCEDRE会議は、経済を復活させ、成長と雇用を促進することにより、レバノンの財政状況の安定化を支援するための資金調達を目的としていた。102億ドルの融資と8億6,000万ドルの供与を約束する財政支援が提供されることとなった。ここに示された金額は天文学的なものであるが、今度は国際機関や専門家の協力を得た腐敗防止タスクフォースを使用するという法律を適用する必要がある。

法律と規制は存在していたが、昨年6月に採択された新たな条文が加えられた。1999年の法律第154号は、違法な蓄財を、腐敗および特権乱用による公務員の蓄財と定義している。そしてこれを防止するため、公務員および第3レベル以上の公共事業団体職員は、職務の開始時に資産を申告しなければならないと規定されている。一方、法律318/2001は、マネーロンダリングと闘うことを目的としている。この法律により、レバノンの銀行部門がマネーロンダリングに使われるのを防ぎ、またレバノンの銀行に預けられた資金の秘密が保持された。この法律により、Financial Action Task Force (マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)に協力していない国のリストからレバノンの名前が削除された。

2008年には、法律318/2001により設立された特別調査委員会の権限が強化され、腐敗との闘いを目的とする慣習および法律に従い、口座を凍結し、銀行の秘密を解除できる排他的特権が与えられた。

昨年6月、レバノン議会は公共部門の腐敗との闘いに関する法律を採択したが、これは間違いなく称賛に値する取り組みであり、透明性と公共支出の安定化への第一歩であった。これは、ガッサン・ムックハイバーが議長を務める汚職に反対する議員グループが、市民社会の代表者や複数の専門家からの貢献を得て努力した結果であった。

この法律は、腐敗の範疇に入る犯罪とそれと闘う手段を定義することを試み、2人の裁判官、1人の法学者、政界から切り離された3人の専門家から構成される独立した委員会にこの闘いを委託している 。この委員会は、既存の管理機関を置き換えることなく、その決定と指令の実施に取り組む新たな管理部門によってサポートされることになっている。市民社会、レバノンの専門家、国会議員らがこれらの組織を整備することが急務となっている。

腐敗に関する議論でしばしば引用されるケースの1つは、EUが資金提供するトリポリの廃棄物処理プラントである。これまでのところ公的資金が不正流用されているかどうかは明らかとなっていないが、欧州の納税者からのお金の管理欠如とニーズの評価の欠如は調査の対象となっている。

レバノンでは、フランスや世界の他の多くの国と同様に、市民社会は(ソーシャルネットワークによって助長され、サポートされて)、当然のことながら透明性を要求している。フランスも批判を免れない。欧州評議会の反汚職国家グループが先週、腐敗と闘うためのより良い政策を実施するようパリに要請しているからだ。

腐敗に関して独立し評価の高い専門知識を持つ欧州評議会や、憲法を助言するベネチア委員会などの機関により接近し。そこから利益を得ることはレバノンにとって興味深いことであろう。また、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に相談することも有益であろう。こうした協調的な姿勢は、他の多くの国の参考になるであろう。

レバノンの社会的および財政的安定は私たちすべての関心事である。レバノンは中東の安定にとって不可欠な部分であるからである。したがって、国際社会は、要請があればすぐにも新しい委員会の腐敗防止措置の実施が確保されるよう新しい首相に全面的に協力しなければならない。

  • ナタリー・グーレは、オルヌ県(ノルマンディー)代表のフランス上院議員である。Twitter: @senateur61
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