


アミン・アッバス
『恐竜戦隊ジュウレンジャー(Mighty Morphin Power Rangers)』のオリジナルテーマ曲の他、シリーズに使用された楽曲を作曲したアメリカの音楽家ロン・ワッサーマン氏が、自身の音楽の背景にあるインスピレーションについて語った。
アラブニュース・ジャパンの独占インタビューに応じたワッサーマン氏は、音楽への情熱と、この業界に根を下ろすまでの経緯を説明してくれた。
「音楽をつくることはいつも私のDNAの一部だった。3歳からピアノを始め、5歳で作曲を始めた。ずっと、音楽だけをやってきたんだ。好きな音楽については、ほぼすべてのジャンルの聴くし、愛している。バッハからブラック・サバス、トム・ヨークからカーディ・Bまで、すべてを網羅しているよ」と、ワッサーマン氏。
彼自身は他のシリーズの曲を手がけているが、ワッサーマン氏は『ドラゴンボール』が「好きでたまらない作品」だという。
まだ日本を訪れたことはないワッサーマン氏だが、今後2年のうちに訪れる予定があるという。日本文化の一面を、こう言って賞賛する。「日本の人々がお互いをいかに尊重し合っているかを、私は心から尊敬している。私も、そういうふうに生きている。仲間や周りの人々を思いやり、気遣いながらね」
この業界でどうキャリアを確立していったかについて、ワッサーマン氏は、最初はあまり知られていないブランドを手がけ、そこからどんどんステップアップしていったのだと語る。
「80年代には、たくさんのマイナーなバンドに参加してきた。ただ、心から曲をつくっていたよ。いつも誠実にね。人はそれをちゃんと感じるんだ。1990年代の前半にテレビのための作曲を始めた時は、子供向けの番組にもっと(大人っぽい)サウンドを使おうとした」と、ワッサーマン氏。
「何年も、他の歌手の曲のガイドボーカルをやった。私自身の声が初めて世に出たのは、1993年にアメリカでリリースされた『パワーレンジャー』シリーズのテーマソング、『ゴーゴー・パワーレンジャー』だった。私は自分が歌手として特にうまいとは思っていなかった」と、ワッサーマン氏は付け加えた。
ワッサーマン氏は、米国初の『パワーレンジャー』シリーズ(日本語のタイトルは『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)の音楽を作曲したことで知られている。同番組の音楽や楽曲の制作について詳しく語ってくれた。
「1993年のある夜だった。サバンの音楽部門長がやってきて、『Mighty Morphin Power Rangers』という新しい番組のテーマソングが必要だと言ってきたんだ。作曲して演奏、歌を入れてトラックをミックスするのにかかった時間は文字通り2~3時間だった。たいていの場合、アイディアはすぐに浮かぶ。退屈なのは、ぴったりのサウンドを見つけて頭の中にあるパーツをすべてレコーディングする作業だよ」と、ワッサーマン氏は言う。
ワッサーマン氏は『パワーレンジャー』シリーズの仕事をした時期のことについて、あんなに有名な番組に関わることができたのは楽しかったし、特に「スタジオでロックスターを演じることができた」のが最高だったと語る。
30年以上も世界中で大ブームを巻き起こしている『パワーレンジャー』シリーズの一員であることについて、ロン・ワッサーマン氏は「まったく驚くべきことだ。こんなにも大きな一つの現象の一部となれたことはとてもラッキーだし、本当に光栄だ」と、話す。
この番組は5人の10代の若者たちが主人公だ。クラスに馴染めない者、孤独な一匹狼、学校でいじめをしている者、インテリ、落ちこぼれ。彼らそれぞれの物語とアクションヒーローへの変身を描く。この番組は30年以上にわたり世界中で大ヒットし、テレビ史上、最も長く続いた子供向けアクションシリーズの一つとなった。ワッサーマン氏はこのシリーズの成功にふれ、この番組が成し遂げてきたことは「まさに驚異的」であり、このような大きな現象の一部であれたことは「ラッキーだし、光栄に思う」と語った。
だが、ワッサーマン氏のテレビシリーズへの貢献はそれだけでは終わらず、彼は現在、いくつかの新作にコントリビューターとして参加している。それに加え、近日発売予定の『The Next World』というロールプレイングゲーム(RPG)にも関わっているという。
ワッサーマン氏はまた、漫画やアニメ、ゲームなどの音楽制作や歌、演奏の仕事に興味がある人に向けたアドバイスをしてくれた。
「やりたいと思う仕事を扱っている会社でインターンになるといい。少なくともアメリカでは、一番下のポジションから始めないといけない。そこから、ステップアップしていくんだ。ぶれずに自分を保ち続けて、本当に才能があるなら、最終的にはつながりができ、仕事を得られるだろう。でも、常にプロフェッショナルで、親切であることを忘れないように!」