アラシュード・アブドラ

ジェッダ：サウジアラビアの首都リヤドから約900キロ離れたジェッダ市内にあるジェッダ日本人学校では、文部科学省が定める学習指導要領に基づいた教育活動が行われており、日本で使われている検定教科書を使い、海外にいても日本と同じ教育を受けることができる。生徒たちは将来日本に帰国する場合にも、日本の学校にスムーズに順応できるのだ。

学校教育目標として「心豊かに学び、たくましいジェッダ子の育成」を掲げ、めざす子供像を「夢や目標をもって自らの人生を切り拓き、心豊かで、知性と実践力のある児童生徒」と位置づけ、次の3つの重点目標とその手立てを明確にした教育活動を展開している。

○分かる授業・力がつく授業の創造　⇒　「学びの達人」をめざす児童生徒の育成

○「気づき・考え・判断し・行動できる」主体的実践力の育成　⇒　「一歩進んだ私」をめざす児童生徒の育成

○祖国愛・地域愛を育み、自信と誇りの醸成　⇒　「国際人としての資質を有した私」をめざす児童生徒の育成

ではここで、「ジェッダ日本人学校の5つの特色」に触れてみたい。

• 母国語である日本語の正しい習得と活用を目指して、日本国内と同等以上の教育を行っている。国語の授業の充実に加え、毎朝の読書活動、スピーチ活動、漢字検定などを実施している。
• 英語教育にも重点を置き、小学部は能力別のクラスを設けて週4時間の英会話の授業を実施。中学部は英語学習に加え週2時間の英会話の授業がある。また、校外学習や他校との交流の場では、英語を使って積極的に交流する場を設けている。英語検定では3級、準2級、2級に合格している。
• 小規模校の特性を生かして、授業ではきめ細やかな指導を心がけ、基礎基本の確かな定着と発展学習の充実を図っている。また発表の場を多く設けて、表現力の育成にも力を注いでおり、異年齢での関わりも多く、高学年への憧れや低学年への思いやりの心が自然に育まれている。児童生徒会が企画して実施する1泊2日のスクールステイやサウジアラビア国内への全校宿泊学習は毎回人気のある行事とのこと。
• ジェッダならではの教育の一環として「アラビアの文化・地理」「サウジタイム」の学習があり、当地の「ひと・こと・もの」について理解を深めている。イスラム教に関する学習では、その歴史や礼拝のしかたについて現地の方から直接教えてもらったり、日常生活で使われている道具などに触れたりして、生活様式や食文化などについて体験的に学ぶ学習を大切にしている。またアラビア語の授業では、現地の講師によるアラビア語の言語や文化・習慣などについての学習も行っている。全校宿泊学習では、これまで首都リヤドやタイーフに行き、その土地の自然や歴史を学習してきた。今後は近隣国の日本人学校や日本の学校との交流活動はもとより、状況が改善して環境が整えば現地の学校との交流活動をさらに積極的に行いたいと考えているそうだ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
• 日本の伝統文化を大切にした取組も行っている。音楽や体育の授業、休み時間を利用して和太鼓やソーラン節の練習に励んでおり、日本人祭りや国際親善交流会、トルコ校での国際子どもフェスティバルな どにおいて披露している。今後は剣道も披露したいと考えているそうだ。その他にも、「こいのぼり集会」「七夕集会」「書初め大会」「豆まき集会」など日本の文化的行事を大切にしている。　

校長の溝上正弘氏は、「ジェッダ日本人学校では、確かな学力の習得はもとより、国際社会で柔軟果敢に活躍できる資質の育成と日本とサウジアラビアの文化や伝統を大切にした学びの充実を図りながら、世界に目を開き、何事にも主体的に取り組める子どもの育成をめざした教育を積極的に進めてまいります」とコメントした。