• ドローンを押収したところ、麻薬74錠、白い物質1点、SIMカードの入った携帯電話1台、USBフラッシュドライブ1点、イヤホン1組が発見された
• 1972年に1,200人を収容するために建造されたルーミエ刑務所には、現在4,000人以上が収監されている

ナジャ・フーサリ

ベイルート：レバノンの治安部隊が、ドローンを使って中部のルーミエ刑務所に麻薬を持ち込もうとする企てを阻止した。

レバノン最大の刑務所の管理局は、数日前に囚人棟の上でホバリングするドローンを発見した。国内治安部隊（ISF）の長官は、麻薬が入った透明な袋と携帯電話がドローンにテープでくくりつけられていたと述べた。

ドローンを押収したところ、麻薬74錠、白い物質1点、SIMカードの入った携帯電話1台、USBフラッシュドライブ1点、イヤホン1組が発見されたと、ISFは述べた。

レバノンの各刑務所、特にルーミエに禁止物質を持ち込もうとする企ては数多くあった。1週間前、ある囚人の母親が体内に隠した麻薬錠剤を施設に持ち込もうとして捕まったと、ISFは述べている。

刑務所問題に詳しい弁護士ラビア カイス氏はアラブニュースに次のように述べた。「禁止物質を刑務所に持ち込もうとする企ては絶えず、その手段は常に変化している」

「世界中のあらゆる刑務所と同様に、組織犯罪が各刑務所にはびこっている。ルーミエでは刑務所内で麻薬を売るギャングがいて、最も危険な犯罪者たちがそこに含まれている」

カイス氏は、さらにこう述べた。「刑務所の警備官は非常に厳しい状況下で働いており、彼らの給与は無価値となってきているが、ルーミエに禁制品を持ち込もうとする企てを阻止するため全力を尽くしている」

レバノンの刑務所は殺人、麻薬の使用・密売、窃盗といった罪に問われた囚人で過密状態になっている。

現在レバノンの刑務所は380%を超える過密状態だ。在監者の約80%は裁判なしで収監されている。過密状態のせいで、新たな被拘禁者はしばしば刑務所の基準を満たさない警察署で拘禁されている。

司法筋がアラブニュースに語ったところによると、警察署には被拘禁者のためのベッドがなく、食料や医療も提供されないという。

また、「囚人および被拘禁者の約45%はシリア人だ」とのことだ。

レバノンには9,000人以上の在監者がいて、25の刑務所と229の警察署に振り分けられている。

1972年に1,200人を収容するために建造されたルーミエ刑務所には、現在4,000人以上が収監されている。

5人まで収容できるように設計された一部の監房には、10人以上が収監されており、スペースが足りないため、囚人たちは交代で就寝していると、釈放された囚人が伝えている。

元裁判官のバサム・マウラヴィ暫定内務大臣は1月に、国の経済危機が、刑務所に24時間体制で警備官を雇い、絶えず食料や電力を供給し、医療を提供するための当局の能力に影響をもたらしていると述べた。

「電力が途絶えたり、食料が尽きたりしてはならないので、我々は刑務所のためにこういった全てを確保しなくてはならない。このようなニーズを満たすことは内務省の責務ではないが、内務省はこの重荷に耐えている」と、マウラヴィ氏は語った。

3月中旬に食料販売業者は、刑務所が通貨価値の下落に起因する差額の補填を怠ったことに抗議して、刑務所への納入を4月4日から停止すると述べた。

3月下旬、内務省と財務省はこの新たな危機への対応を急ぎ、国会人権委員会の委員長を務める国会議員ミシェル・ムーサ氏は、刑務所へ食品を供給する企業への支払いを確保するため、国庫金の前払いを行うと発表した。

一方、賃金のデフレをめぐっての7か月にわたる裁判官のストライキが、刑務所の過密状態緩和への希望を損なっている。

各人権団体は「最も恐ろしい形の怠慢と苦情」を報告している。

悪化する状況のせいで、この1年だけで33人の囚人が死亡しており、コレラなどの深刻な病が刑務所システム全体に蔓延している。

ルーミエの内部から流出した最近の映像には、裁判にかけられることを求めて、集団自殺をすると司法組織を脅す多数の囚人がうつっていた。

囚人らは、他の人々が裁判なしで何年も拘禁されている中で、2020年のベイルート港爆発事故に関わった者たちを釈放するという検察官ガッサン・オウェイダット判事の決定の「不公平さ」を非難した。

ベイルート弁護士会のナダル・ガスパー会長は、「警備担当者が政治家の警護の任務にあたる時に、刑務所の警備を担当する人員が不足する」ことについて不満を述べた。