リーン フアド
ロンドン:約2週間前にロシアによるウクライナ侵攻が始まると、中東の報道機関はいち早く対応し、特派員を派遣して現地から生中継で報道した。
特にこの紛争がアラブ世界にどのような影響を与えるかに注目し、リヤド、ドバイ、ドーハなどアラブ諸国の首都にあるニュース編集室は、この危機に関する最新のニュースや見解を絶え間なく視聴者に伝えるために24時間体制で取り組んだ。
しかし、アラブ諸国の視聴者は、最近の報道は何かが違うことに気づいている。この戦争を取材するために各地域のテレビ局が派遣した特派員のほとんどが女性なのだ。
戦争を伝えるアラブの女性記者で突出しているのは、カタールの地域ニュースチャンネル、アル・アラビTVの戦争特派員ナジュラ アブメルシ氏。彼女は、ウクライナの中心部から、そこで繰り広げられる状況をレポートしている。
以前はBBCアラビア語放送に在籍し、ロンドンを拠点とするアブメルシ氏の報道姿勢は、アラブの視聴者の共感を呼ぶ勇気とカリスマ性を兼ね備えていると賞賛されている。
「敵対的な環境からの報道には、ジャーナリストとしての資質や個人的な適性、自分は恵まれていると信じるスキルが必要です。ですから、アル・アラビTVの編集者からウクライナのキエフへの派遣を要請されたとき、私はすぐにこの任務を引き受けました」とアブメルシ氏はアラブニュースに語った。
メリー・コルビン女性ジャーナリスト・ネットワーク―ロンドンのサンデー・タイムズ紙でシリア戦争を取材中に死亡した同米国人特派員に捧げられているもの―のメンターであるアブメルシ氏は、最前線において女性が経験することについて語った。
「多くの要因があって、最前線で女性のレポーターを見ることが多くなっていると思います。それは以前は女性の意欲が低かったからではなく、意思決定のレベルにおいて、考え方が変わったからです」と彼女は話した。
「この10年間は、一般的に多様性を求める動きがあり、その結果、より多くの女性の功労者や司会者が活躍し、女性が上級職に就き、実際に指導者になれるような自然な進展がありました」
ウクライナ北東部のハルキウに進駐してきたロシア軍の動きをこのほど前線から生中継で追跡したアル・ハダスのクリスチアン ベイサリー氏も、戦争を取材する女性のひとりだ。映像には、ベイサリー氏と報道チームが、避難してより安全な場所に移動するよう求められている様子が映し出されている。
「この10年間は、一般的に多様性を求める動きがあり、その結果、より多くの女性の功労者や司会者が活躍し、女性が上級職に就き、実際に指導者になれるような自然な進展がありました」
こうした女性たちは、紛争地域から報道を続けてきた数多くの女性従軍記者たちの後に続くものである。
アル・アラビヤのイラク人ジャーナリスト、アトワー バハジャット氏は、米国によるイラク侵攻の報道の際に命を落とした。2006年、彼女はサマラでの取材中、同僚のアドナン アルドライミ氏およびカリッド アルフェラヒ氏とともに追いつめられ、無残にも銃撃されたのだ。
このほか有名な紛争特派員としては、アル・アラビヤのリマ マタビ氏とナジュワ・カセム氏がいる。両者とも2006年のレバノン戦争を取材、前者は英国を拠点とする慈善団体のランキングで、武装暴力を取材するジャーナリストとして世界で最も影響力のある100人に選ばれている。