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ガザのキリスト教徒にクリスマスの聖地訪問許可。イスラエルはベツレヘムの観光を制限

占領下の西岸地区にあるベツレヘムの降誕教会の大聖堂を歩く観光客。2019年12月22日。(AFP)
占領下の西岸地区にあるベツレヘムの降誕教会の大聖堂を歩く観光客。2019年12月22日。(AFP)
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23 Dec 2019 06:12:50 GMT9
23 Dec 2019 06:12:50 GMT9

アラブニュース

イェルサレム:ガザ地区のキリスト教徒によるクリスマスのベツレヘムやイェルサレムなどの聖地訪問が許可されるとイスラエル当局が日曜日に発表した。許可を出さないという決定を覆すものだ。イスラエルはガザ地区、ハマスが支配する領土からの移動を厳しく制限している。イスラエルはハマスをテロ組織とみなしている。

通常のクリスマス休暇政策から転換し、イスラエル軍のパレスチナとの連絡担当は12月12日に、「治安命令」に基づいてガザのキリスト教徒には海外渡航が許可されるが、イスラエルや占領中のヨルダン川西岸地区へ行くことは許可されないと発表した。

日曜日に、COGATと呼ばれる連絡基地はTwitter上で基地長官が「クリスマス休暇に関するガザのキリスト教徒の旅行促進策を拡大した」と発表した。

COGATによれば、その結果「イェルサレムと西岸地区への入国許可は、年齢にかかわりなく治安評価に基づいて出される」と言う。

狭い沿岸地帯に暮らす人工200万のうち、ガザ在住のキリスト教徒はわずか1,000人ほどで、大部分はギリシア正教だ。

昨年、イスラエルは700人近くのガザのキリスト教徒に対してイェルサレム、ベツレヘム、ナザレやその他の聖地への旅行を許可した。これらの聖地には毎年クリスマス時期には数万人の巡礼者がやってくる。

イェルサレムのキリスト教指導者は当初の入国禁止措置を非難し、イスラエル当局に対してその解除を求めると述べていた。

一方では、インド人観光客のグループはベツレヘムの降誕教会に到着して1時間足らずで笑顔で教会を出て、そのままバスに乗ってイェルサレムに戻っていく。

キリスト教徒がイエス誕生の地と信じているこの街には大勢の観光客がいるが、クリスマスの熱気はイスラエルの旅行会社がベツレヘムに対して観光客の流入から利益を得ることを許していないという不満によって勢いをそがれている。

ベツレヘムの50数カ所のホテルは12月25日、クリスマスごろのピークシーズンには予約でいっぱいだが、どのホテルも年間を通した占有率を確保するのに必死になっている。

パレスチナホテル協会によれば、毎年ベツレヘムを訪れる300万人の旅行者のうちベツレヘムで一泊以上しているのは3分の1未満であるという。

大部分はイスラエルの検問所にすぐに引き返して、占領下の西岸地区を出ている。パレスチナ人たりはイスラエルの旅行会社が日帰り旅行のみを手配することでパレスチナのビジネスを損なおうとしていると非難する。

より恒常的なビジネスを求めて、西岸地区の南部にあるイェルサレムとヘブロンの間に位置する小さなベツレヘムの街では、非宗教的な観光の拡大を目指している。

皮肉なことに、現在の大きな呼び物はイスラエルとパレスチナの紛争そのものであり、紛争によって生まれた政治的なストリートアートである。

特にバンクシー(イギリスのスプレーアートの巨匠、その正体は謎のまま)の作品は多くの観光客をひきつけ、グラフィティをテーマにした観光コテージ産業を生み出した。依然としてベツレヘムの主要な呼び物である教会前の広場では、ブラジル人の夫婦と娘の一家がイェルサレムやその他の街などの3週間のツアーの一部として現地を訪れたことを喜んでいた。

「本当にあっという間でしたが、満足でした」と母親は語ってからイェルサレムへと戻っていき、そこで一夜を過ごした。

近くにいた商人は観光客たちがベツレヘムの通りや市場を探索しようとはしないという事実を嘆いた。

「それほど遠くないんです。ただ広場を渡るだけなのに」と彼は言った。

ベツレヘムの商工会議所の会長サミール・ハズボーンは、同市は魅力を多様化しようとしていると述べた。

観光客は「他にも多くの文化的・歴史的な場所を探訪できる」と彼は述べ、ヘロデ王の元宮殿や世界遺産のバティール村などを示した。

ハズボーンによれば、多くの観光客が長期滞在しないのは、イスラエルに拠点を置く旅行代理店に頼って西岸地区を訪れるからだと言う。旅行代理店は1967年からイスラエルが占領しているパレスチナの領土である西岸地区への滞在時間を「コントロール」している。

パレスチナホテル協会の会長エリアス・アル・アルジャは、20年間でホテルの数が5倍に増加した一方で、インフラ設備、特に水道や電力は依然として遅れを取っていると指摘した。

ベツレヘムには宗教を求める人だけでなく、徐々にストリートアートに惹きつけられる観光客も増えている。

多くの人が分離壁上のグラフィティやステンシル版画を観にやってくる。この壁はイスラエルが2002年、パレスチナのインティファーダ(反乱)の最中に建設を開始したものだ。

イスラエルは、ベツレヘム付近にある高さ5メートル(16フィート)のコンクリート壁を、ベツレヘムを保護するために必要だとしている。だがパレスチナ人は壁をアパルトヘイトの壁と呼んでいる。

AFPが訪れた際、若いヨーロッパ人が白いペンキを壁に塗って、グラフィティのためのきれいな表面を作っていた。

すぐ近くの店舗では、即席を残したい観光客向けにスプレー缶とステンシルを販売していた。

この店は隣接する「ウォールド・オフ・ホテル」が所有している。2017年にバンクシーがオープンしたホテルである。

ホテルのすべての部屋から壁を一望することができる。部屋はイスラエルとパレスチナ間の紛争に関する作品で装飾されている。紛争は1階にある美術館のテーマでもある。

ホテルの支配人ウィサム・サルサーは、このホテルができるまでは多くの宿泊客がベツレヘムや西岸地区を訪れることを夢にも思っていなかったと述べた。

「バンクシーはベツレヘムの新しい観光に多大な貢献をしています」と彼は述べ、開業以来2年間で250,000人がホテルを訪れたと推計した。

ほとんどは若い観光客で、通常は小さなグループでやってくる。そのため教会を訪れる多くの場合年配の観光客たちのバスとは競合していない。一部の観光客は宗教施設を訪れさえしない。

だが、そうした観光客もほとんどが宿泊はしない。

ホテルのテラスに座っていた2人の若いドイツ人、シモンとヤンは美術館について「非常に面白かった」と語り、事情に疎い自分たちも紛争についてよく知ることができたと述べた。

だが、彼らは立ち寄っただけで、テルアビブで宿泊すると述べた。

AFPおよびReutersと)

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