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隠された貧困の文化

日本、台東区(アラブニュース・ジャパン 写真)
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25 Jul 2022 10:07:50 GMT9
25 Jul 2022 10:07:50 GMT9

ナダル・サモーリ

日本は多様性、文化、経済的発展という特徴で知られ、何層もの驚きを持つ国だ。しかし、日本人のライフスタイルや生活を理解するには、文化というレンズを使って目を凝らして見ることが重要だ。このレンズを通すと、日本の人々が一般に深刻な貧困のなかで生活していること、そしてほとんどの時間を無私の奴隷のように過ごしていることが見えてくる。裕福な世界のこの厳しい現実には、多くの人が驚くことだろう。

このレンズの視界の下には、よくある誤解が存在する。日本人は誇り、献身、名誉などのために熱心に何時間も働くのだという誤解だ。そしてこの世界を知らない人々にとっては、こうした人々の暮らしが何か魅力的なものとなる。例えば、壊れやすくて安全でない家が、「伝統的」で「風流」であるかのように見え、2人の子供を抱えて苦闘している母親を、「自然体でいる人」のように捉えてしまうというように。

しかし、この「文化」は、高層ビルディングや電光掲示板などに覆い隠されて分かりにくい形をとっている。そのために日本の貧困は、どこか「忍者」のように隠れたものになる。

何人かの日本人に接触してみると、覆い隠された文化が姿を現してくる。大阪在住のシゲノリさんは、日本の伝統的な集団主義に与えた欧米文化の影響を取り上げ、勝者と敗者のいるアメリカンドリームの日本版に耳を傾ける政治家たちが莫大な支持を集めてきたが、その陰で、アメリカ文化に侵された都市部では貧困が増加していると語る。これが格差の拡大をもたらし、それはますます広がる一方であり深刻化している。その一例が、地方に進出するショッピングモールであり、これが貧困を増加させているのだという。

そしてシゲノリさんは、日本社会の平等主義や集団主義を優先させるべきだと今でも考えており、欧米の影響でもたらされた経済格差を無念に感じている。

60代のある日本人女性(匿名希望)は、別の視点からこの問題を語ってくれた。彼女は、貧困問題は着実に広がっているとし、「これは特にシングルマザーの家庭に顕著で、コロナ禍に入ってからますます増加しています」と語った。また、経済レベルによる教育格差の問題にも言及し、こうした格差は「目立たない」ことが多いと述べた。貧困家庭で育った子供たちは、教育やさまざまな体験が大きく制限されてしまうのだという。

日本、そしておそらく他国においても同様であろうが、貧困などの問題は、その国の文化や人々の暮らしを注視することが必要であり、それは旅行で感じられる魅力や感動を超えたその先にある姿だ。

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