
シンガポール:LIVゴルフ・アデレードと、数週間前のインターナショナルシリーズ・ベトナムで、2大会連続の2位になったことにより見出しを飾っている、インドゴルフ界の最有力選手アニルバン・ラヒリは、米国からドバイへ拠点を移したことが今の好調の主な要因になっていると話している。
35歳のラヒリは、義母ががんを患い緩和ケアを受けており、個人的に辛い時期を過ごしている。それにもかかわらず、23日にはアデレードで驚異的な猛追を見せた。優勝したテーラー・グーチに11打差をつけられてのスタートだったが、あと少しで及ばなかった。
最終ラウンドを65打で終えてから数分後、試合中に義母が亡くなったことをラヒリは知った。
インド人ゴルファーとして最高位の世界ランキング95位に位置しているラヒリは昨年、LIVゴルフを後援するサウジゴルフと契約する、インド人として初めてで唯一の選手となった。ボストンで行われた大会に初出場したラヒリは、プレーオフの後にダスティン・ジョンソンに続く2位で大会を終え、早速インパクトを与えた。PGAツアー参加を諦めたラヒリは、9月に拠点をフロリダ州ウェスト・パーム・ビーチからドバイへと移した。
「(拠点の移動は)長いこと考えていました」と言うラヒリは、ブライソン・デシャンボーが率いるクラッシャーズチームの一員としてLIVリーグに参戦する。
「フロリダは家(ベンガルール)から遠すぎました。家族や友達の近くにいたかったですし、国際大会のスケジュールでプレーして、高水準な施設を使いたかったのです。ドバイは全ての条件を満たしてくれました」
ドバイへは、妻イプサの家族が住んでいるプネーから飛行機で約3時間の距離で、自身の両親が住むハイデラバードからも同じような距離にある。フロリダからだと、最速でもそれぞれ片道約20時間かかる。
「(ドバイへの引越しと現在の調子に)直接的な相互関係があるかどうかはわからないですが、間違いなく関係しています」と、2月のサウジインターナショナルを15位以内で終えたラヒリは言った。「この6ヶ月間を家族全員で乗り越えてきたので、まだフロリダに住んでいたとしたらどんなに困難だったことか、想像さえできません」
「妻、私、子供たち、私の両親にとって、このような時に必要な協力や団結をすることが物理的に可能だったとは、私には思えないのです。ここ45日間に2度、緊急時に母親をインドから飛行機で呼び寄せるだけの金銭的余裕がありました。そのためドバイへの移転は素晴らしいことでした」
こうした困難な時の明確な利点に加えて、個人的にもプロとしても、移転は助けになったという。
「素晴らしい人たちに会って、新しく素敵な関係を築けました」とラヒリは説明する。「一緒にいるとリラックスできる友人や知人が周りにいるエルスクラブで、練習できる環境があるということは魅力的なことです。ドバイにいなければ不可能だった、飛行機での行き来が可能になり、家族のために動き回れるようになりました」
「そのため、とてもたくさんのことがあります。でもそうですね。ドバイがパズルにピッタリと収まってくれて、ここ数ヶ月を私たちが乗り越えられるようになりました」
ラヒリは、28日に始まるセントーサゴルフクラブでのLIVゴルフの試合で、自身の好調さが続くことを望んでいる。
「セントーサでは以前にプレーした経験があるのですが、1つだけ確かなことがあります。このゴルフコースへは、最高の試合をしないとやって来られないということです」
「なので、ここ数日間は気掛かりで、インドに行って葬儀を行う妻の手伝いをしてあげられることを待ち望んでいました。調子がとても良いことは喜ぶべきことです」
「ここ数週間は異なる人生観を持っていて、自分がいかに恵まれているかをよく考えていました。正直に言って、ベトナムやアデレードでは、ボギーやダブルボギーを叩いても一度も気にせずプレーしていました。大局的にはどうでもよいことだったのです。ゴルフは今の私にとってほんの些細なことにしかすぎません。私は恐れることなく結果を考えずにプレーできるようになりました」
「今週も同じ心持ちでいられたら、また良い結果を報告できると確信しています」