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WHOが新型コロナウィルス感染症の緊急事態の終焉を発表。これは何を意味するのか?

2022年2月18日、香港のカリタス医療センターの外にある臨時の仮設診療所でベッドに横たわって診察を待つ患者たち。(APファイル写真)
2022年2月18日、香港のカリタス医療センターの外にある臨時の仮設診療所でベッドに横たわって診察を待つ患者たち。(APファイル写真)
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07 May 2023 03:05:11 GMT9
07 May 2023 03:05:11 GMT9
  • WHOのテドロス事務局長は、パンデミックは 「1年以上減少傾向にあり、ワクチン接種や感染による人口免疫は増加している 」と述べた。
  • しかし、テドロス事務局長は、新型コロナウィルス感染症の緊急事態は収まったものの、ウィルスは今後も存在し、毎週何千人もの人々が亡くなり続けていると警告した。

ロンドン: 世界保健機関は5月5日、新型コロナウィルス感染症のパンデミックに対する評価を引き下げ、もはや世界的な緊急事態には該当しないとの見解を示した。今回の措置は、この病気がCOVID-19と名付けられる前で、中国以外での大きな発生が見られなかった2020年1月30日に初めて出された宣言を覆すものである。

WHOの決定が意味するものとは:

国際的に懸念される健康上の緊急事態を終わらせる理由とは?

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、パンデミックは 「1年以上減少傾向にあり、ワクチン接種や感染による人口免疫は増加している 」と述べた。その結果、ほとんどの国が「新型コロナ以前の生活に戻ることができており」、パンデミックの最悪期が終わったといえると述べた。

テドロス事務局長は、この1年、WHOと緊急委員会の専門家が新型コロナウィルス感染症のデータを分析し、警戒レベルを下げるべきタイミングを検討してきたと言う。5月4日、専門家たちはテドロス事務局長に対し、新型コロナウィルス感染症は、もはや世界的な緊急事態に該当しないと勧告し、世界保健機関の責任者である事務局長はその助言を受け入れた。 

実質的な影響とは?

一般人にとっては何もない。健康上の脅威を世界的な緊急事態として分類することは、他国への健康上の脅威となりうる「異常な」事象が発生しており、それを封じ込めるための協調的な対応が必要であることを政治当局に警告することを意味する。WHOの緊急事態宣言は、通常、助けを必要としている国のための国際的なSOSとして使われている。また、疾病対策のための特別措置の導入や追加資金の投入を各国に促すこともできる。

英国、フランス、ドイツ、米国など多くの国では、パンデミック期の規制の多くをとうに撤廃している。 米国では、ロシェル・ウォレンスキー博士が5日、6月に疾病対策センター長を退くことを発表する際に5月11日に公衆衛生上の緊急事態を終了することについて言及している。

新型コロナウィルス感染症は依然としてパンデミックなのか?

答えはイエスだ。WHOのテドロス事務局長は、新型コロナウィルス感染症の緊急事態は終わったとしながらも、新型コロナウィルスは今後も存在するし、毎週何千人もの人々が亡くなり続けていると警告。 「新たな変異体が出現し、患者数や死者数が急増するリスクは依然として残っています。これが何を意味するかと言うと、各国が緊急態勢から、新型コロナウィルス感染症を他の感染症と同等に管理するように移行する時期が来たということです。」と事務局長は述べた。

4月には、東南アジアや中東での急増を含め、300万人近い感染者と17,000人以上の死者が報告されたと、国連機関は指摘。

新型コロナウィルス感染症のパンデミックはいつ終わるのか?

それはわからない。WHO緊急事態対応部門チーフのマイケル・ライアン博士は、新型コロナウイルスは依然として公衆衛生上の脅威であり、その変異が続くと将来的に問題が発生する可能性があると述べた。「1918年のパンデミックを引き起こしたウィルスが消えるまで、何十年もかかりました」と、少なくとも4千万人が死亡したとされるスペイン風邪に言及した。

「パンデミックが真の意味で終わるのは、次のパンデミックが始まったときだけです」と語った。 ライアン博士は、新型コロナウィルス感染症は非常に長い間、人々の間で広がり続けるだろうが、その脅威ははるかに低いレベルにあり、ウィルスの広がりを抑えるために極めて特別な措置は必要ない、と述べた。

他に緊急事態宣言が出されているものは?

WHOはこれまで、豚インフルエンザ、ジカ熱、エボラ出血熱、ポリオ、これまでサル痘と呼ばれていたM痘の発生に対して世界非常事態を宣言している。 ポリオの宣言が出されてから約9年。ポリオを撲滅しようとする政府関係者の努力にもかかわらず、対象の国は減少し続けているものの、緊急事態は依然として続いている。

2022年7月、WHOのテドロス事務局長は、数十カ国で爆発的に広がっているM痘を世界的な緊急事態と宣言し、事態を把握するために招集した緊急委員会の決定を覆した。M痘はその後まもなくヨーロッパと北米でピークを迎えたが、厳密には現在も世界的な緊急事態が続いている。

今後も新型コロナウィルス感染症に対する予防措置を取る必要があるのか?

答えはイエスである。保健当局によると、ウィルスは今後も消滅することはないため、予防接種及び適用される場合は追加接種を受けるよう呼びかけている。マスクやソーシャルディスタンスを含む、パンデミックの最盛期に見られた多くの対策は、病院や介護施設などの特定の環境を除いて必要ないが、当局は、基礎疾患のある人や免疫力が低下している人は、こういった予防策などを継続することを推奨している。

新型コロナウィルス感染症の初期とは異なり、ワクチン接種と過去の感染の両方による高い免疫レベルが病気の広がりを劇的に抑えることにつながっている。

英国レディング大学のサイモン・クラーク准教授(微生物学)は、人々がすべての新型コロナウィルス感染症対策をやめてしまうことに警鐘を鳴らしている。

「一般の方へのメッセージとしては、やはり油断せず、他者に配慮して欲しいと思います。 ひどい咳など、呼吸器系の感染症で体調を崩している場合、他の人を危険にさらさないように、特に弱い立場の人を危険にさらさないようにするべきです。新型コロナウィルスをうつされて感謝する人はいません。健康で若くても、新型コロナウィルスは厄介な場合がありますし、年をとって体が弱っていれば、命を落とすこともあるのです。」

AP

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