リヤド:サウジの刃物職人、ハシェム・アラワミ氏は、ソーシャルメディアを見てナイフを一から作るという趣味に出会った。
「この趣味との出会いは唐突でした」とアラワミ氏は語る。「YouTubeで日本刀作りについての動画を見ていたんです。すると、YouTubeのアルゴリズムが私が興味を持つものを探り当て、ナイフの作り方の動画をお薦めとして流し始めたのです。熱し方、処理の仕方、ナイフに柄を付ける方法などなどです」というのが独学でナイフ作りを学んだ彼の説明だ。
アラワミ氏は興味をかき立てられ、スキルを完成させるためにオンライン講座やフォーラムに参加した。
「私は独学でナイフ作りを学びました。師匠はいなかったし、ナイフ作りを知っている人と友達になったわけでもありません。最初はYouTubeの他にブレードフォーラムなどのオンラインフォーラムを見てひとりで勉強しました。それから、ナイフ作りの基礎を教えるオンライン講座を2~3受講しました」と彼は言う。
アラワミ氏はまず、作品がキッチンナイフなのか狩猟用ナイフなのかを決めるところから始める。その上で、高炭素鋼やステンレス鋼などの輸入材料を入手し、最後に品質基準に合ったものかどうかをテストする。
「敢えて言うなら、ナイフ作りで私が好きなのは、ナイフの目を立て、テストを始める時です。ナイフを出荷する前には厳重なテストをします。野菜、木材、紙などを切って、切れ味が続くか試します。切れ味が続けば、熱処理がうまく行ったということです。続かない時は、最初からやり直しです。ナイフ作りは非常に難しい訳ではありませんが、技巧と忍耐が必要です」ということだ。
初めのうち、アラワミ氏の家族はこの一風変わった工芸に懐疑的だった。危険かも知れないと思ったのだが、最終的には納得した。
技能を磨くにあたり、アラワミ氏は「何度も傷を負って、ひどい怪我もありましたが、振り返れば貴重な経験で、自分が扱っている機械や工芸を尊重することを学びました」と言う。
アラワミ氏は、アルコバールに住むナイフ製作者で本職はエンジニアのムハンマド・アルスライビク氏に会ってナイフ作りの知識を高めた。「彼からは多くを学びましたし、今でも連絡を取り合って、教えてもらったり質問したりしています。彼はこの工芸に非常に精通しています。金属学やナイフ作りの工程を完全に理解していて、私にとって良い導き手でした」
アラワミ氏は趣味の組み合わせを楽しんでいる。良いナイフを作ることと、料理にそれを使うことだ。「料理も切れ味の良いナイフを作ることも大好きです。とても達成感があります。組み合わせると料理人は自分の料理をもっと好きになれるし、実際、鋭いナイフを使うと良い料理ができます」
本職は臨床心理士だが、アラワミ氏は趣味をセカンドビジネスに発展させた。「私の作品は特定の人たちを対象にしています。料理を愛し、機能的な手作りの工芸品を気に入ってくれる人たちです」と彼は語った。