ジョン・デュアーデン

​​アル・イテハドのファンにとって、なんとも素晴らしい1週間となった。2009年以来となるロシュン・サウジ・リーグのタイトルを獲得した数日後、フランス代表のスーパースターFWカリム・ベンゼマが、レアル・マドリードからジェッダに移籍することが決定したのだ。

これはアル・イテハドのファンからすれば新たな夢の実現であり、ライバルから見れば恐ろしい未来となる。アル・イテハドは優勝争いにおいて圧倒的な力を誇示。30試合13失点と最も堅固な守備力を備えるのみならず、破壊的な攻撃力も持ち合わせていた。

アブデラザク・ハムダラが21得点で得点王となり、ブラジル人のロマリーニョとイゴール・コロナドも傑出したパフォーマンスを披露。ヌーノ・サント監督は、すでに豊富なタレントを揃えている。

そこに、35歳にして世界で最も恐れられているストライカーの1人、ベンゼマが加入した。彼はキャリアのピークには及ばないかもしれないが、特に直近のバロンドール受賞者という立場にあることを考えると、まだやれることは数多くある。

レアル・マドリードが欧州王者へと上り詰める道のりで、ベンゼマはレアル・マドリードを何度も窮地から救い、15ゴールでチャンピオンズリーグ得点王にも輝いた。そして、彼は昨年10月、誰もが手にしたいと憧れる、世界最高の選手に贈られる個人賞を受賞した。

ベンゼマがクラブサッカーにおける最高のタイトルを獲得したのは5度目である。

「ベンゼマの偉大さが分からないなら、サッカーを理解していないということだ」とジネディーヌ・ジダン（サウジアラビアに監督として招聘との噂も）は語ったが、これに異を唱える者はごくわずかだろう。

ベンゼマがチャンピオンズリーグで獲得したメダル数は、クリスティアーノ・ロナウドにも匹敵する。サウジアラビアにマドリード時代のチームメイトがいることは、個人的なレベルで大きな違いをもたらした。ベンゼマはロナウドに接触し、この国のピッチ内外での生活について尋ねた。返事は肯定的なものだったに違いない。

ロナウドのリヤドへの移籍は、世界に連鎖的な影響を及ぼし、サウジ・プロリーグへの関心を大きく高めた。ロナウドが昨年12月にアル・ナスルと契約したことで、世界のサッカー界における多くのビッグネームから、サウジアラビアへの移籍が突如注目されるようになったのだ。彼を皮切りに、他の選手も続いた。

唯一の疑問は、チームが世界最高レベルの舞台に届くかどうかだった。ベンゼマは確実にそのカテゴリーにいると言って差し支えない。バロンドール保持者がこの夏最初の大型契約となったが、それはこれから起こることの予兆かもしれない。

タイトルを争うライバルたちは、アル・イテハドの挑戦を受けねばならない。王者がこれほどの規模と早さで補強を続けるならば、他チームも同様の動きを見せる必要がある。アル・ナスルはロナウドを擁するものの、最後は失速し、現在は監督もいない。だがその状況はすぐに変わるだろう。現キャプテンの名声を考慮すれば、相当な評価を持つ新監督が必要になる。

アル・ヒラルは3位に終わり、ラモン・ディアスの後任監督を探している。過去2回の移籍ウィンドウでは移籍禁止の制裁を科されていたが、これから多くの動きがあると見られる。リオネル・メッシが大きく噂されているが、セルジオ・ブスケツのような選手もいる。

そして、アル・シャバブは4位から更に上を目指して投資を行う見通しで、衝撃的な降格からすぐに復帰した、ジェッダのもう1つの強豪アル・アハリも動き出す。

もうどのチームも何を相手にしているのかは分かっている。カリム・ベンゼマがサウジアラビアの最強チームを盤石にし、焼けるような暑い夏が幕を開ける。