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7月5日が地球上で最も暑い日に メイン大学記録を更新

暑さの中、汗を拭う、首に扇風機をつけた警備員=2023年7月3日、中国・北京。(AP)
暑さの中、汗を拭う、首に扇風機をつけた警備員=2023年7月3日、中国・北京。(AP)
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06 Jul 2023 08:07:40 GMT9
06 Jul 2023 08:07:40 GMT9
  • メイン大学の「Climate Reanalyzer」によると、7月5日の地球の平均気温は摂氏17.18度に達した
  • 各地で摂氏37.8度近くの気温が観測されているため、最新の平均気温から暑いという印象はさほど受けないかもしれない

4日、地球の気温は急上昇し、数十年ぶり、おそらくは数世紀ぶりの暑さとなった。これに続き、5日には、3日連続で非公式だが記録的な暑さとなるかもしれない。これは気候変動がもたらしてきた一連の異常気象において最新のものであり、これに対し科学者は警戒こそすれ、驚きはしない。

メイン大学の「Climate Reanalyzer」によると、地球の平均気温は4日には華氏62.9度(摂氏17.18度)に達した。「Climate Reanalyzer」は、衛星データ、観測データ、コンピューター・シミュレーションを活用した共通のツールで、気候科学者が世界の状況を知るために使用している。3日の平均気温は華氏62.6度(摂氏17.01度)で、当初は記録的な数値だったが24時間後には更新された。

かねてから科学者が警告していた、汗が吹き出るような事態だ。

「このような記録的な数値は、地球温暖化が我々をより暑い未来へと突き進ませているという、今や大勢に支持されている命題を裏付ける新たな証拠にほかなりません」と、スタンフォード大学の気候科学者クリス・フィールド氏は話した。

5日には、3,800万人のアメリカ人が何らかの暑さ警報の対象になっていたと、米海洋大気庁の主任科学者サラ・カプニック氏は述べた。同氏によれば、今回の世界的な暑さは、石炭、石油、ガスの燃焼による人為的な気候変動に加え、エルニーニョ現象という自然な要因により太平洋の海面水温が上昇し、それが地球を暖め、世界中の天候に影響を与えているためだという。

普段は涼しい地域でも記録的な暑さが見られている。オンタリオ州ノース・グレンヴィルでは、5日の気温が華氏90度(摂氏32度)を記録し、湿度によって体感温度が摂氏100.4度(摂氏38度)に達したため、市がアイスホッケーリンクを冷却センターに転用することになった。

「まるで熱帯の国に住んでいるようです。空気がとてもどんよりとしています」と市のジル・スターディ報道官は述べた。

非公式だが重大な記録更新

「Climate Reanalyzer」の開発者であるメイン大学の気候科学者ショーン・バークル氏は、日々のデータは非公式なものだが、温暖化が進む世界で何が起きているかを示すスナップショットとしては有用だとしている。それは病人の体温のようなものだとバークル氏は話す。そこから何かしらの問題があることは分かるが、全体像を把握するためには、医師の診察のような長期的な記録が必要なのだ。

データは政府の公式記録ではないが、「我々の現在地を示すもの」だと海洋大気庁の主任科学者サラ・カプニック氏は言う。海洋大気庁は、公式データの算出の際にも、そのデータを考慮に入れるとしている。

非公式記録に使用されたデータセットは1979年までしかさかのぼれないが、カプニック氏によれば、他のデータと合わせて考えると、5日は「人類が経験してきた過去数百年間」で最も世界が暑くなった日である可能性が高いという。

科学者らは一般的に、地球温暖化の経過を追うために、数か月、数年、数十年といった、より長期間にわたる観測値を用いる。だが、連日の記録的な平均気温は、気候変動が未知の領域に達していることを示している。

どれほどの暑さなのか

各地で華氏100度(摂氏37.8度)近くの気温が観測されているため、最新の平均気温から暑いという印象はさほど受けないかもしれない。しかし、4日の平均気温は、1979年から2000年のそれよりも華氏1.8度(摂氏1度)近く高く、20世紀と19世紀のそれをすでに上回っている。

今週はケベックとペルーでも観測史上最高気温が更新された。北京では先週、9日連続で華氏95度(摂氏35度)を超えた。

オレゴン州メドフォードからフロリダ州タンパに至るまで、アメリカ全土の都市が史上最高気温で推移している、と米国立気象局の気象学者ザック・テイラー氏は述べた。

フロリダ州セミノール郡の緊急管理責任者であるアラン・ハリス氏は、暑さ指数が華氏108度(摂氏42.22度)以上になると発動する異常気象対策の実施日数が、すでに昨年を超えたと言う。

「先週から酷暑が続いており、今週で2週間目となる可能性もある」とハリス氏は話した。

米国では、オレゴン州西部、カリフォルニア州北部内陸部、ニューメキシコ州中部、テキサス州、フロリダ州、カロライナ州沿岸部に暑さ注意報が出ている。アリゾナ州南部とカリフォルニア州では猛暑警報が続いている。

高いリスクにさらされる人口層

気温の上昇は、世界中の人々に過酷な状況をもたらす。急激な暑さは、人体の健康に悪影響を及ぼす。特に若者や高齢者は、通常の状態でも暑さに弱い。

「人々は暑さに慣れていません。体が追いつかないのです」とアリゾナ州の気候学者で、極端な気象・気候現象の専門家であるエリナン・サフェル氏は言う。「高リスクにさらされている可能性がある層を把握し、人々が、水分補給を行い、涼しく過ごし、激しい屋外活動を避け、周囲に高リスクな状態の人がいれば配慮するよう促すことが重要です」

全体的に見れば、暑さが何を意味するかは人によって少しずつ異なる。

テキサス州西部の建設作業員にとって、それは冷たいラップとゲータレードだ、と廃水処理プラントの建設会社で現場監督を務めるジョー・ステーリー氏は話す。ポートランドでは、裏庭の菜園に撒く水を増やすことだとマーサ・アルバラード氏は言う。ミネソタ州に住むジョー・ロイゼン氏にとっては、高い湿度の中、家族経営のブドウ畑で辛い作業に勤しむことだ。

屋外で演奏することの多いダラスのミュージシャン、サム・コーミエ氏にとって、暑さは仲間意識を意味する。窓を開け放したアパートの住人が、彼に飲み物を渡しに外に出てくる。暑さの中でも、人々は外を歩き回り、彼は他の機材より軽いギター1本で演奏する。家の中でパソコンに向かっているより、外で汗を流している方がいい、と彼は言った。

ここまでの道のり、そしてこれからの行く先

海洋大気庁のカプニック氏によれば、今回の世界的な暑さは、石炭、石油、ガスの燃焼による人為的な気候変動に加え、エルニーニョ現象という自然な要因により太平洋の海面水温が上昇し、それが地球を暖め、世界中の天候に影響を与えているためだという。

「すべての記録が破られるべきではありません。我々の惑星のほぼ隅から隅まで、人々は前例のない熱波の矢面に立たされています」と、国連環境計画ディレクターのインガー・アンデルセン氏は話した。「我々は危険を冒して科学を無視しています。… 最も貧しく脆弱な人々が、我々の無策によって被害を受け続けています」

観測史上最高の平均気温が記録されたここ数日より前にも、「実に信じがたい気象学的・気候統計」が数か月にもわたって続いており、北大西洋の記録的な暖かさ、南極大陸の記録的な海氷の少なさ、急速に強まるエルニーニョなどがあった、とオクラホマ大学のジェイソン・ファータド気象学教授は述べた。

「Climate Reanalyzer」は5日の暑さが再び記録的な、あるいはそれに匹敵するものとなることを予測しており、新たな非公式記録が打ち立てられるかもしれない。5日の南極大陸の平均気温は、1979年から2000年のそれより摂氏4.5度(華氏8.1度)も高くなる見通しだ。

人類は依然として大気中に温室効果ガスを送り込み続けており、将来世代は2023年の夏を「残りの人生の中で最も涼しい夏のひとつ」として振り返るだろう、とテキサスA&Mの気候科学者アンドリュー・デスラー氏は述べた。

AP

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