
登山者で混雑する富士山の山梨県側・吉田口登山道(吉田ルート)について、県は9日、事故の危険性が高まった場合、通行規制を実施すると発表した。お盆休み以降に登山者数の増加が見込まれるとして、11日~9月10日を規制対象とする。県世界遺産富士山課の担当者は「1日当たり4000人を規制の目安の一つとする」と話している。富士山の登山道が規制されれば初めてとなる。
県によると、現地の安全誘導員などの情報により、登山道が過密状態となり、転倒や落石によって登山者の安全が脅かされる可能性が認められた場合、県が県警に規制を要請。規制場所は県警が状況に応じて判断する。
富士山の登山道は、吉田ルートのほか、静岡側の「須走」「御殿場」「富士宮」の3ルートがある。吉田ルートは富士スバルライン5合目(標高約2300メートル)がスタート地点で、比較的登りやすいことなどから登山者の6割を占め、7月1日~8月8日の登山者数は約8万3000人(速報値)。新型コロナウイルス流行前の2019年の同時期並みという。
一方、新型コロナの影響で、7~8合目に集中する山小屋は宿泊定員を抑制している。宿泊できなかった登山者が徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」で体調不良者が続出することが懸念され、周辺自治体や観光団体が県に規制を要望していた。
時事通信