
ドバイ:ミラノとニューヨークにはしばらく道を開けてもらいたい。社会的改革と経済の多角化が、サウジアラビアをファッション業界における国際的なプレイヤーの仲間入りへと導く中、リヤドがグローバルなキャットウォークで輝く時が来たのだ。
7月、モハメド・アシ氏は、オートクチュール・モード連盟の招待により、世界のファッションカレンダーを代表するイベントであるパリ・オートクチュール・ウィークでショーを行った最初のサウジアラビア人デザイナーとなった。
今年9月、サウジアラビアの100ブランドがイタリアのスタイルの中心地ミラノに向かい、ミラノ・ファッションウィークで最も期待されるイベントの一つである「ホワイト・ミラノ」で彼らのデザインを発表する。
サウジアラビアのファッションデザイナーが台頭してきたのは比較的最近のことだ。その背景には、この分野の拡大をリードするために2020年に設立された文化省のファッション委員会を含む、政府主催イニシアティブの数々が存在する。
サウジアラビアのファッションは、経済成長と多角化のための重要な触媒として登場した。これは、炭化水素以外の分野への進出を支援するために2016年に打ち出された、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の改革アジェンダ『ビジョン2030』に沿ったものである。
サウジアラビア・ファッション委員会はこのほど、国内外の関係者がサウジアラビアの新興ファッション産業がもたらす機会の大きさを理解できるよう、報告書「サウジアラビア王国におけるファッションの現状2023」を発表した。
「この分野は他の大きな高所得者市場の中でも、最も大きな成長率を持っている」と、ファッション委員会の、ブラク・チャクマクCEOはアラブニュースに語った。
「報告書が示すように、ファッションは現在サウジアラビアの経済的成長を牽引する主要分野である。王国でのファッション製品の小売需要は2025年に48%増加して、320億ドルになると予測されている。富裕層向け小売需要は19%の成長が見込まれる」
「私たちはサウジアラビアのファッションを、主に国内に焦点を当てた市場から国際的な舞台へと導いている。王国の既存のブランドや新興のブランドが主要なファッションウィークに参加し、世界中で顧客ベースを築いている」
サウジアラビア文化省がファッション委員会を通じて主導するイニシアティブのひとつが、10月20日から23日にかけて開催される初のリヤド・ファッション・ウィークだ。その目的は、「世界で最も人気のあるファッション・ウィークのひとつになることだ」とチャクマクCEOは語る。
「私たちは世界中からの訪問者を温かく歓迎し、サウジアラビアのファッションとラグジュアリーの魅力を紹介することを楽しみにしている」
サウジアラビアでは長年にわたり、ファッションショーはプライベートな場で開催されてきた。しかし、2016年以降に実施された社会改革(女性のベール着用を義務付ける法律の停止を含む)以降、このようなイベントが公的な領域へと移行した。
ドルチェ&ガッバーナは2022年、歴史的な砂漠地帯であるアル・ウラーで初のファッションショーを開催した。ショーメやヴァン クリーフ&アーペルなど、他の著名なファッション・ジュエリーブランドもサウジアラビアでイベントを開催している。
とりわけ、『ビジョン2030』の改革は、才能あるサウジアラビアの若手デザイナーがこの業界で活躍し、キャリアを確立し、国内、中等地域、そして世界の舞台で作品を発表する道を開いた。
「世界はサウジアラビアを注視している。それは、グローバルなスポーツへの参加を通じてであったり、新しい観光地としての王国を宣伝することであったり、スタートアップ経済のグローバルなプレイヤーとしてであったりする」と、サウジのライフスタイルエディターであり、ジャーナリストであり、コミュニケーションエージェンシー「Niche Arabia」の創設者であるマリアム・モサリ氏はアラブニュースに語った。
「紅海開発会社による新しいリゾートのスタッフのユニフォームであれ、総合エンターテインメント庁(GEA)が制作する新しい演劇の衣装であれ、ファッションを活用する分野は多岐にわたる。これにサウジアラビアの若い才能が関わり、王国の美学を称賛される機会は非常に多い」
2021年、ファッション委員会は、サウジアラビアのデザイナーがファッション業界で国際的な成功を収めることができるよう、メンターシップ、ガイダンス、リソースを提供することで支援し、後押しすることを目的とした「サウジ100ブランド」イニシアティブを立ち上げた。
このイニシアチブは、サウジアラビアのファッション産業の振興と発展に対するサウジアラビア政府のコミットメントを示すとともに、サウジアラビアのデザイナーがその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援するものだ。
「過去2年間、『サウジ100ブランド』に参加し、一緒に仕事をしたすべての専門家から大きな恩恵を受けてきた」と、サウジデザイナーのモナ・アルシェビル氏はアラブニュースに語った。
「さらに、ファッション委員会の支援により、ミラノ・ファッションウィーク、ニューヨーク・ファッションウィーク、パリ・ファッションウィークに参加した」
また、サウジアラビアの新しい才能を称賛するヴォーグ・アラビア紙6月号の表紙を飾った著名なデザイナー、ユセフ・アクバル氏のように、数年前までサウジアラビアにはファッション産業が存在しなかったと語る人もいる。しかし、それは今すべて変わった。
「ファッション産業は今、政府にとって真剣なビジネスとして認識されている」と、アクバル氏はアラブニュースに語った。「以前は何も行われていなかった。ファッション産業は存在しなかった。今やファッションは重要な分野であり、それが主要な文化的および経済的な役割を果たしているという認識がある」
「第二に、サウジアラビア政府による産業確立のための投資が重要であり、第三に、私が最も重要だと考えるのは、デザイナー自身だ。なぜなら、王国には多くの才能があり、デザイナーがいなければこの産業は成立しないからだ」
「今、世界中の人々は、この地域に才能あるデザイナーがいること、そして彼らが国際的などの人々と同じくらい優れていることをようやく知ることができる」と彼は言った。
2023年末、ファッション委員会は、リヤドで初めての製品開発スタジオを立ち上げる予定だ。この生産スペースでは、デザイナーがプロトタイプやサンプルを作成し、市場への参入を加速させることができるようになる。
このスタジオには、3D織り機やレーザー裁断機などの最先端技術が導入され、世界の一流工場と肩を並べることを目指している。それでも、ファッション産業が豊かな未来を築くためにやるべきことはまだ多く存在する。
「私たちは、国とともに発展し、世界のファッション業界を補完できるような、本物のファッション・エコシステムの基礎を築く必要がある」とモサリ氏は言う。
製造から販売、マーケティング、メディアまで、サウジアラビアはベストプラクティスを採用し、その国際的な同業者の中で、ニッチな部分を見つけることができる」
そのためには、人材への継続的な投資が必要だ。
「私たちは、データの活用を続けながら、国際的にネットワーク化されたバリューチェーンの基盤を築き、教育プログラムを通じてサウジアラビアの才能のパイプラインに投資し、世界クラスのデザイナーを生み出すことで、王国がグローバルなファッションシーンの不可欠な存在として成長し続けることを確実にする」と、ファッション委員会のチャクマクCEOは語った。
サウジアラビアの新進気鋭のデザイナーの多くは、自らのブランドを成長させるだけでなく、自国の伝統とアイデンティティを地域的・国際的な舞台で披露しようと努力している。
それゆえ、ファッションは、経済成長と国家の誇りを高める両方に貢献する可能性を秘めている。
「サウジアラビアの新進デザイナーとして、私の目標は、王国のファッション産業の成長と発展に貢献することだ」と、サウジアラビア人デザイナーのアルシェビル氏は言った。
「私は、サウジファッションのユニークな美しさと創造性を世界に紹介すると同時に、地元の才能にチャンスを与え、サウジアラビアの文化的多様性を称えることに情熱を注いでいる」