杭州:北京で3月にスパイ容疑で中国当局に拘束されたアステラス製薬の日本人男性が、刑事拘留されたことが20日分かった。日中関係筋が明らかにした。中国側は近く、逮捕するかどうかを正式に判断するとみられる。
日本政府は早期解放を求めているが、習近平政権は応じておらず、拘束の長期化が懸念される。
中国当局が今月中旬、男性を刑事拘留していることを日本側に伝えた。中国側は拘束時の理由を「反スパイ法違反などの疑い」と説明している。
男性は50代で、同社の北京駐在幹部。中国駐在を終え、日本に帰任する直前に拘束された。拘束後は施設やホテルで取り調べを受ける「居住監視」措置が取られていた。中国の刑事訴訟法は居住監視について、6カ月を超えないと規定している。
在中国日本大使館は4月以降、領事面会を6回実施。男性は健康状態に関して「特段問題はない」と話していた。最初の3回は感染症対策のためモニター越しでしか面会できなかった。
中国では反スパイ法が施行された2014年以降、この男性を含め日本人17人が同法違反などで拘束されている。いずれも容疑の具体的な内容は明らかになっていない。今年7月にはスパイ行為の定義を拡大し、摘発を強化する改正反スパイ法を施行。対象となる行為の定義はあいまいで、当局による一層の恣意(しい)的な運用が懸念され、在留邦人の間で不安が高まっている。
時事通信