
ソウル:北朝鮮は23日、より強力な軍隊と新兵器を韓国との国境に配備すると発表した。韓国は前日、北朝鮮による偵察衛星打ち上げに抗議して2018年の南北軍事合意を一部停止すると発表していた。
北朝鮮国防省は、朝鮮中央通信が伝えた声明の中で、南北国境沿いの緊張緩和を目的とした韓国との取り決めのもとで停止していた軍事的措置を全て再開すると宣言した。
「今後、我が軍は9月19日の南北軍事協定に拘束されない」と声明は述べた。「我々は、陸海空を含む全ての領域における軍事的緊張と衝突を防ぐために取られていた軍事的措置を撤回し、軍事境界線に沿った地域により強力な軍隊と新型の軍事装備を配備する」
2度の失敗を経た今年3度目の試みであった21日の衛星打ち上げは、北朝鮮の金正恩総書記が異例のロシア訪問を行い、プーチン大統領が北朝鮮の衛星開発への支援を約束した後に行われた。
韓国政府関係者らによると、今回の発射に関しては、ますます強まるパートナーシップのもとでロシアからの技術支援があった可能性が高いという。北朝鮮はこのパートナーシップのもとでロシアに数百万発の砲弾を供与している。
ロシアと北朝鮮は武器取引を否定しているが、衛星を含む分野でのより深い協力を約束している。
韓国は22日、北朝鮮による衛星発射を受けて南北軍事合意を一部停止し、厳重に要塞化された北との国境沿いの監視を直ちに強化すると発表した。
北朝鮮は、韓国が包括的軍事協定(CMA)として知られるこの合意を破棄したと非難し、韓国は南北間で「取り返しのつかない衝突が発生した場合、全面的に責任を負う」と警告した。
北がミサイル発射
北朝鮮の声明は、同国が22日遅くに東海岸沖に向けて弾道ミサイルを発射した数時間後に発表された。韓国軍は、発射は失敗したようだと述べた。
米国務省の報道官は、韓国がCMAの一部停止を決定したことについて、北朝鮮側の「合意不履行」に言及し、「慎重かつ控えめな対応」だとした。
この報道官は次のように述べた。「韓国の停止によって軍事境界線の韓国側で監視・偵察活動が再開され、北朝鮮の脅威を監視する韓国側の能力が向上することになる」
聯合ニュースの報道によると、韓国は22日、国境地帯で有人・無人偵察機の使用を再開した。
今回停止された南北軍事合意は、2018年の金正恩労働党委員長と韓国の文在寅大統領(いずれも当時)との首脳会談の際に締結されたもので、2019年までに停滞した数ヶ月間の外交交渉から生まれた最も具体的な成果の一つだった。
金委員長との会談の際に文大統領の特別顧問を務めた延世大学の文正仁(ムン・ジョンイン)教授は、北朝鮮は合意の全ての要素に従っていたわけではないが、CMAの破棄は国境沿いにおける対立のリスクを高める可能性があると指摘した。
「偶発的な衝突が起これば核攻撃を含む本格的な紛争にエスカレートしかねない」と同教授は述べた。「我々にはリスクと緊張の低減に努めるあらゆる理由があるが、韓国はその代わりに反対方向に行こうとしている」
批判者らは、この合意が韓国の対北朝鮮監視能力を弱めたことと、北朝鮮が合意に違反したことを指摘している。
元CIAアナリストで現在は米国のヘリテージ財団に所属するブルース・クリングナー氏は次のように語る。「CMAは理屈上は良い合意だった。リスク低減措置と信頼・安全保障構築措置は、戦術的衝突や意図しないエスカレーションのリスクを低減することで双方にとって有益なものとなるからだ」
しかし、追加の措置は停滞し、CMA自体も同盟国の監視や軍事訓練が制限されるという代償を伴っただけで北朝鮮の軍事的脅威を減らすことはできなかったと、同氏は指摘する。
同氏によると、米国は公には明確な立場を表明していないが、非公式には韓国に対しCMAを維持するよう求めていたという。
北朝鮮は21日、偵察衛星を初めて軌道に乗せたと発表し、弾道ミサイル計画に適用可能な技術の使用を禁じた国連決議に違反したとして国際的な非難を浴びた。
韓国は、北朝鮮の衛星は軌道に乗ったとみられるが、正常に作動しているかどうかの評価には時間を要すると述べた。
ロイター