
秋田県能代市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)能代ロケット実験場で7月、新型の固体燃料ロケット「イプシロンS」第2段の地上燃焼試験中に起きた爆発事故について、JAXAは12日、内部にある着火装置の金属部品が溶融、飛散したのが原因と特定した。同日開かれた文部科学省の専門家部会に報告した。
イプシロンSは、全長約27メートルの3段式固体燃料ロケット。外側を覆う構造材の中に、断熱材に包まれた推進薬が充填(じゅうてん)されている。
JAXAは、推進薬や断熱材が損傷した結果、過大な熱が生じて爆発に至ったと推定。損傷の原因を輸送時の振動と、着火装置の金属部品の熱による溶融・飛散の二つに絞り込み、検証試験などを行った。
その結果、輸送時の加速度の8~9倍の加重を多数回与えても、損傷は生じないことが判明。一方、着火装置の金属部品が溶融した場合、外側の構造材と推進薬の間に入り込んで断熱材を損傷させ、異常な燃焼を生じさせることが確かめられた。
JAXAは、溶融を防ぐため、着火装置の金属部品にも断熱材を付けるなどの対策を策定。今後、再度の燃焼試験を行い、効果を確認する。
時事通信