
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の市立中学生401人のうち希望する約250人が17日、家族の元を離れ、同県南部の白山市に向けて出発した。避難先は県の宿泊体験施設「白山青年の家」と「白山ろく少年自然の家」で、期間は最長2カ月程度を見込んでいる。
氷点下の朝、集合場所にはキャリーケースなどを持った市立輪島中の生徒が続々と到着。友人と抱き合うなどして再会を喜び、大型バス4台に乗り込んだ。午前9時すぎにバスが発車すると、「頑張ってね」と声を掛ける親らと窓越しに手を振り合った。
自宅が傾き、家族で輪島中に避難していた1年生森田純さん(13)は「不安はないが輪島を離れるのは寂しい」と名残惜しげ。母マリベルさん(39)は「親としては心配だけど先生や同級生たちと一緒だから大丈夫」と話した。
受験を控える3年生山瀬大喜さん(15)は「2カ月勉強が遅れるのは怖い」と避難を決めた。地元の輪島高校を受ける予定だ。自宅の倒壊は免れたが、安全のため避難するという中1の女子生徒は「また地元に戻りたい。帰ってきた時にきれいな町やったらいいな」と笑顔を見せた。
1年生の学年主任を務める山岸豊和教諭は「市内での生活がままならない状況。学習や生活のケアだけでなく、心のケアもしていきたい」と語った。
県によると、珠洲市と能登町でも同様の集団避難に向けた調整が進められている。
輪島市教育委員会によると、全3校ある市立中はいずれも避難所になっており、損傷も激しいため再開が見通せない。学習の場を確保するため、市教委から県教委に集団避難を打診した結果、保護者の同意を得た生徒について白山市への避難が決まったという。小学生は保護者から離れての集団避難は難しいと判断した。
時事通信