
夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は違憲として、北海道や長野県、東京都の男女12人が8日、姓を維持したまま結婚できることの確認などを求め、東京、札幌両地裁に提訴した。都内に住む原告の団体職員上田めぐみさん(46)は、「皆が幸せに結婚するためには必要な制度だ」と選択的夫婦別姓の意義を強調する。
「氏名は自分そのものだから」と、結婚しても改姓しないことを決めていた上田さん。海外での仕事が多く、姓を変えると英仏で得た学位などについて説明しにくくなるのではとの懸念もあり、事実婚を選んだ。パートナーに改姓してもらう道もあったが、「私が嫌なことは相手にもさせたくない」と考えた。
事実婚の弊害はある。住宅ローンを組むのに苦労したほか、職を失っても配偶者控除は受けられない。2人のどちらかに万一のことがあれば、遺産相続では法律婚の夫婦と比べて不利になる。
同僚には旧姓を通称として働く女性もいるが、戸籍上の姓との使い分けで海外の事務手続きがうまくいかないことが多々あり、「女性活躍と言うなら仕事に集中させてほしい」とよく嘆いているという。
上田さんは「一方が改姓するか、結婚を諦めるかの二つしか選択肢がないのは問題だ」と話す。近年は経団連や経済同友会が選択的夫婦別姓制度の導入を求める動きもあり、「賛同の広がりが追い風になっている。裁判所にも理解してもらえるよう闘っていきたい」と力を込めた。
時事通信