
ブラジリア:岸田文雄首相は3日午前(日本時間同日午後)、ブラジルのルラ大統領とブラジリアの大統領府で会談した。両首脳は温暖化対策としてアマゾンの熱帯雨林保護などで協力することを確認。ブラジルは今年の20カ国・地域(G20)議長国で、「法の支配に基づく国際秩序」の維持・強化に向けた連携でも一致した。
ブラジルは来年、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の議長国を務める。新興・途上国「グローバルサウス」の代表格で、環境問題に力を入れている。
両首脳は共同声明を出し、アマゾンの熱帯雨林保護や環境保全型農業などの協力パッケージ「グリーン・パートナーシップ・イニシアチブ」の立ち上げを確認した。二酸化炭素(CO2)排出量が比較的少ないバイオ燃料技術の協力枠組みも創設。ブラジルが生産するサトウキビ由来のバイオエタノールと日本車のハイブリッド技術を連携させ、技術開発で主導権の確保を目指す。
首相には日本企業40社以上の「経済ミッション」が同行し、会談に合わせて現地企業と30以上の覚書を締結。2国間協力として、サイバー分野の人材育成や技術協力などに関する覚書も結んだ。
日ブラジル両国はドイツ、インドと国連改革を目指す4カ国枠組み「G4」を組む。両首脳は安全保障理事会の機能不全が指摘される状況を踏まえ、連携強化を申し合わせた。中東、ウクライナ情勢についても懸念を表明した。
日本の首相のブラジル訪問は2016年にリオデジャネイロ五輪閉会式に出席した安倍晋三氏以来。首相は1月にブラジルなど南米訪問を検討していたが、自民党派閥の裏金事件への対応のため見送っていた。
時事通信