北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」(19トン)が浸水した事故で、第1管区海上保安本部(小樽市)は25日、新たに子ども1人の死亡が確認されたと発表した。乗船者26人のうち、死者は11人となった。同本部などは残る15人の捜索を続ける。
同本部によると、子どもは24日午後11時10分、知床岬灯台から東約14.5キロの海上で巡視船によって救助されたが、その後死亡が確認された。性別や年齢は不明で、搬送時意識はなかったという。
知床岬の近くでは24日、10人が発見され、死亡が確認された。同本部などは25日も発見現場を中心に、巡視船や航空機を使って捜索。船体は沈没した可能性が高く、ソナー(水中音波探知機)も活用して調べている。
観光船は「知床遊覧船」(北海道斜里町)が運航し、豊田徳幸船長(54)=同町=が、昨年6月の座礁事故に関し業務上過失往来危険容疑で書類送検されていたことも判明。同本部は今回の事故について、業務上過失致死や業務上過失往来危険容疑などでの捜査を検討している。
国土交通省によると、観光船は昨年5月、海面に浮いたロープと接触して乗客3人に軽傷を負わせ、同6月にはウトロ港近くの浅瀬に乗り上げる事故を起こした。豊田船長は6月の事故時も船長だった。
観光船は23日、ウトロ港を出発後、知床半島西側沿岸を遊覧して帰港する予定だったが、同午後1時20分ごろ、救助を要請。通報から約1時間後に連絡が取れなくなった。
斜里町によると、観光船の乗船者は13家族で、北海道、福島、千葉、東京、岐阜、大阪、兵庫、香川、福岡各都道府県に在住。国交省によると、10歳未満から70代という。
時事通信