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日本製鉄の買収を阻止するバイデン氏の決定は、米スチール労働者に不安をもたらす

GLJリサーチの創設者としてウォール街でU.S.スチールの株価を追っているゴードン・ジョンソン氏は、「日本-U.S.スチール間の取引を失うことは、ペンシルバニア州にとって災難だ」と語った。(AFP=時事)
GLJリサーチの創設者としてウォール街でU.S.スチールの株価を追っているゴードン・ジョンソン氏は、「日本-U.S.スチール間の取引を失うことは、ペンシルバニア州にとって災難だ」と語った。(AFP=時事)
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05 Jan 2025 01:01:32 GMT9
05 Jan 2025 01:01:32 GMT9

ワシントン:ジョー・バイデン大統領は、日本企業によるU.S.スチール買収を阻止することで、アメリカ中枢部の良質な雇用を守ると言った。しかし彼は、その代わりに雇用を危険にさらしているのかもしれない。

日本製鉄は、ピッツバーグに本社を置く由緒ある鉄鋼メーカーU.S.スチールに150億ドル近い入札を行うにあたり、インディアナ州ゲーリーとペンシルベニア州モンバレーにあるU.S.スチールの老朽化した高炉事業に27億ドルを投資すると約束していた。また、今後10年間、米国政府の承認を得ることなく米国内の生産能力を削減しないことも約束した。

モン・バレーにあるU.S.スチール工場の操業技術者で、全米鉄鋼労組の副組合長を務めるジェイソン・ズガイ氏は、「彼らはバレーに投資するつもりだった。彼らは10年間解雇しないと約束した。私たちは誰からもそのような約束をしてもらえない」

ズガイ氏をはじめとするモン・バレーの鉄鋼労働者たちは、バイデン政権に圧力をかけて日米協約を破棄させた組合の全国指導部に反抗して、日米協約を支持した。

GLJリサーチの創設者としてウォール街でU.S.スチール株を追跡調査しているゴードン・ジョンソン氏は、「日本-U.S.スチール間の取引を失うことは、ペンシルベニア州にとって災難だ」と語った。「本当に理解できない。これは労働者のためにならない。U.S.スチールの株主の利益にもならない」

金曜日にバイデン氏は、連邦規制当局が買収を承認するかどうかで意見が対立した後、日本製鉄による買収を阻止すると述べた。… 国内の鉄鋼生産と国内の鉄鋼労働者なしでは、わが国は強さを失い、安全保障も低下する」

このニュースを受けて、U.S.スチールの株価は金曜日に6.5%下落した。

大統領がホワイトハウスを去る3週間も前に発表されたこの決定は、自由貿易やオープンな投資に対する超党派のシフトの高まりを反映している。

ドナルド・トランプ次期大統領は、すでに日本企業の買収に反対していた。彼は先月、自身のプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に、「私はこの取引の実現を阻止する。バイヤーは用心せよ!」

日本製鉄とU.S.スチールは共同声明の中で、バイデン氏の決定を「適正手続きと法律に対する明らかな違反」と呼び、取引を救済するために訴訟を起こすことを示唆した。

U.S.スチールは1901年、アメリカの大企業J.P.モルガンとアンドリュー・カーネギーを巻き込んだ合併によって設立され、瞬く間に世界最大の企業が誕生した。

20世紀に米国が世界の覇者となるにつれ、U.S.スチールはそれとともに成長した。第二次世界大戦の製造業ブームが最高潮に達した1943年、U.S.スチールは34万人を雇用した。

しかし、1970年代から80年代にかけての日本製鉄、そしてその後の中国製鉄といった外国との競争によって、U.S.スチールの地位は徐々に低下し、工場の閉鎖や従業員の解雇を余儀なくされた。

同社は現在、中国が支配する業界で22,000人弱の従業員を雇用している。

米国政府は長年にわたり、輸入鉄鋼に課税することでU.S.スチールをはじめとする米国の鉄鋼メーカーを保護しようとしてきた。最初の任期中、トランプ氏は外国の鉄鋼に25%の関税をかけたが、バイデン氏はそれを維持するか、輸入割り当てに変えた。いずれにせよ、貿易障壁によってアメリカの鉄鋼価格は人為的に高く維持され、U.S.スチールやその他の企業に財政的な後押しを与えた。

U.S.スチールは利益を上げており、2023年末の29億ドルから減少したものの、18億ドルの現金がある。

全米鉄鋼労組のデビッド・マッコール委員長は金曜日、U.S.スチールは単独でやっていけるだけの資金力があると宣言した。マッコール会長は記者団に対し、「U.S.スチールは強く弾力的な企業であり続けることができる」と述べた。

しかしU.S.スチールは、ペンシルバニア州やインディアナ州にあるような高炉への投資を続けるためには、日本製鉄からの資金が必要だと述べている。

日本製鉄との取引がなければ、U.S.スチールは高炉設備から大きく舵を切ることになり、何千もの高賃金の組合員の雇用が危険にさらされ、高炉設備のある地域社会全体に悪影響を及ぼすだろう」とU.S.スチールは9月に警告した。同社はまた、本社をピッツバーグから移転すると脅した。

U.S.スチールは単独で、アーカンソー州のビッグ・リバー工場など、高炉に比べより効率的かつ低価格で高品質の鉄鋼製品を製造できる、より新しい電気炉に注力する構えのようだ、とペンシルベニア州を拠点とする商品調査会社CRUの鉄鋼アメリカ分析責任者、ジョシュ・スポアーズ氏は言う。

「彼らにその意志がないのかどうかは分からないが、高炉よりも電気炉に投資した方がはるかに良い投資であり、はるかに良い収益率であることは分かっているようだ」とスポアーズ氏は言う。同氏は、北米では何十年もの間、鉄鋼メーカーが高炉を建設していないと指摘した。

ひとつの可能性は、他の企業がU.S.スチールの買収に乗り出すことだ。

2023年、宿敵クリーブランド・クリフスが70億ドルでU.S.スチールの買収を申し出た。U.S.スチールはこの申し出を断り、結局は日本製鉄からの150億ドル近い現金提示を受け入れた。おそらく、クリーブランド・クリフスは再挑戦するだろう、とアナリストは言う。

ジョシュ・シャピロ・ペンシルバニア州知事は声明の中で、U.S.スチールの経営陣に対し、「モンバレー工場とU.S.スチール本社で働くペンシルバニア州民とその家族の雇用と生活を脅かす」ことのないよう警告した。

シャピロ氏はまた、今後U.S.スチールの買収に応じる企業は、「日本製鉄がテーブルの上に置いたのと同じように、設備投資とペンシルバニアの雇用を守り、成長させる」ことを約束しなければならないと述べた。

AP

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