
東京:原子力市民情報センター(CNIC)は12日、日本政府がパブリック・コメント(意見公募制度)を適切に活用せず、取り上げたくない意見を排除していると非難する声明を発表した。
CNICは次のように述べている。「国会議員は国民の代表であるはずなのに、国民との対話を拒否している。彼らは政治の具現者なのに、国民からの政治的な訴えを拒否している。政府も国会議員も、どういうわけか社会運動を自分たちの敵とみなしているのではないか」
パブリックコメント制度は、2005年6月の行政手続法改正によって立法化された手続きで、行政運営の透明性を確保し、国民から広く意見を募ることを目的としている。
CNICの報告によると、政府は、AIが作成したと思われるものも含め、パブリックコメントの数が急増していることを懸念している。また、原子力政策や放射性物質を含む土壌のリサイクルなど、国民の関心が高く、議論を呼ぶような政策を政府が推進しようとする場合、提出件数が増加するとしている。
CNICは「利害関係者との非公式な接触や草案策定段階での調整が、パブリックコメント段階での草案の修正率が低い要因である」とも述べている。その結果、パブリックコメントからの意見が最終政策に反映されるのは表面的なものにとどまっているという。
その例として、政府の第7次エネルギー戦略計画では、「原子力発電への依存度を可能な限り低減する」という文言が削除され、「(原子力を)必要な規模で持続的に利用する」に変更されたことを挙げている。CNICによれば、政府はこの変更の理由が原子力産業と原子力発電所を抱える地方自治体の要請によるものであることを認めたという。
CNICは、「政策形成の過程で聞かれた利害関係者の声が優先される一方で、最終段階での市民の参加が軽視されるのであれば、パブリックコメントの趣旨を疑う声が実施側と市民の双方から上がっても不思議ではない」とし、「パブリックコメント制度は、国民の権利を守る基本的な手段のひとつであるべきだ」と述べた。