
ボストン:ボストン連邦地裁の判事は5日、元日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者の逃亡を手助けした疑いのある2人の男性の日本への身柄引き渡しについて、引き渡し回避への男性側の最後の要請を拒否することになるだろうとの見通しを明らかにした。
米連邦地裁のインディラ・タルワニ判事は、元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)隊員のマイケル・テイラー容疑者と息子のピーター・テイラー容疑者を日本に引き渡す前に、米国務省による追加の手続きが必要だという結論に傾いていると述べた。
しかし、拷問を行う可能性のある国には容疑者を引き渡さないという義務順守の確認を伴うその手続きは、「それほど難しいものではない」とタルワニ判事は語っている。
国務省がそうした手続きを取れば、テイラー容疑者親子の主張を退ける決定を下すことになるだろうとタルワニ判事は言う。判事はまた、誰かが「保釈中に失踪」するのを手助けしたことでは日本の法律では起訴できないというテイラー容疑者親子の弁護士の主張には懐疑的な見方を示した。
「彼らのした一連の行為は、ここ米国では犯罪であり、日本でも犯罪であるように思われます」と判事は語っている。
タルワニ判事は、自身が正式に裁定を下すまで、テイラー容疑者親子の引き渡しを一時延期するという先週の決定は解除しない、としている。容疑者側のティルマン・フィンレー弁護士は、テイラー容疑者親子は彼らに不利な決定に対しては判決に対しては控訴するだろうと述べた。
テイラー容疑者親子は日本政府の要請で5月に逮捕された。米国務省は先週、テイラー親子の弁護士に日本への身柄引き渡しを承認したことを告知した。
検察によると、テイラー容疑者親子は2019年12月29日、箱にゴーン容疑者を隠してプライベートジェットに乗せ、日本からの脱出をほう助したという。ゴーン容疑者は子供時代を過ごした、また日本と犯罪者引き渡し条約を締結していないレバノンへの逃亡に成功した。
ゴーン容疑者は、日産の財務諸表への自身の報酬の過少記載を含む、金銭上の不正行為に関与した疑いで裁判を待っているところだった。ゴーン容疑者自身は不正行為を否定している。
検察は、民間セキュリティのスペシャリストであるマイケル・テイラー容疑者と彼の息子が、逃亡ほう助に対して130万ドル(約1億3,500万円)を受け取ったとしている。
ロイター