
菅義偉首相は20日夜、オンライン形式で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した。来年夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて「安全、安心な形で開催するため全力で取り組む」と表明。新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた経済の立て直しに向け、自由貿易を推進する方針を強調した。
首相は「国際的なルールの下での貿易・投資の自由化と連結性の強化が『自由で開かれたインド太平洋』を支える」と指摘。APEC参加国・地域をメンバーとする経済統合構想「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)の実現に向けて「環太平洋連携協定(TPP)の拡大を目指す」と述べ、米国のTPP復帰に期待を示した。
首相は「多角的自由貿易体制の維持、強化が必要だ」と主張。米中貿易摩擦で機能不全が指摘された世界貿易機関(WTO)の改革の重要性を訴えた。
また、デジタル化推進や温室効果ガス排出実質ゼロに取り組む菅政権の方針を説明。「イノベーションを最大限活用して環境と成長の好循環を加速する」と述べた。エネルギー源の多様化や強靱(きょうじん)性向上によるエネルギー安定供給の国際的な取り組みを主導する意向も示した。
JIJI Press