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パレスチナの投票日延期を受け、EUがイスラエルに圧力をかける

EUのジョセップ・ボレル外務政策上級代表は、直ちにパレスチナ選挙の新たな日程を設定すべきだと述べた。(ロイター)
EUのジョセップ・ボレル外務政策上級代表は、直ちにパレスチナ選挙の新たな日程を設定すべきだと述べた。(ロイター)
来月に予定されていたパレスチナ選挙の延期を受け、2021年4月30日に、ガザ地区のジャバリア難民キャンプでデモ活動に参加するパレスチナ人抗議者たち。(AFP)
来月に予定されていたパレスチナ選挙の延期を受け、2021年4月30日に、ガザ地区のジャバリア難民キャンプでデモ活動に参加するパレスチナ人抗議者たち。(AFP)
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01 May 2021 06:05:42 GMT9
01 May 2021 06:05:42 GMT9
  • マハムード・アッバス大統領は、イスラエル占領下のヨルダン川西岸とガザ地区だけでなく、エルサレムでの選挙も保証されるかどうかが不透明であるとしてイスラエルを非難した
  • EUのジョセップ・ボレル外務政策上級代表は、パレスチナ大統領の木曜夜の決断を「非常に残念」とした

ダウード・クティタブ

アンマン:EUは、5月22日に予定されていた選挙を延期するとのマハムード・アッバス大統領の独断を受け、東エルサレムを含むパレスチナ自治区全域での選挙の実施を保証するようイスラエルに促した。

パレスチナのアッバス大統領は、エルサレムが選挙から除外されてしまうとの懸念が、投票日を延期した唯一の理由だと述べた。

85歳のアッバス大統領は、イスラエル占領下のヨルダン川西岸とガザ地区だけでなく、エルサレムでの選挙も保証されるかどうかが不透明であるとしてイスラエルを非難した

候補者名簿の正式な承認と選挙活動は、4月30日に開始されることになっていた。

EUのジョセップ・ボレル外務政策上級代表は、パレスチナ大統領の木曜夜の決断を「非常に残念」とした。

「我々はすべてのパレスチナ人関係者に、政党間でここ何ヵ月か熱心に摺り合わせてきた議論を再開させるよう強く勧める。新たな投票日を直ちに設定すべきだ」と彼は述べた。

ボレル氏はさらに、「我々はイスラエルに対して、東エルサレムを含むパレスチナ自治区全域で、このような選挙の実施を促進するよう改めて要求する」と付け加えた。

ボレル氏は、「繊細な問題を抱えるこの時期」にあって、すべての関係者に冷静さと自制を呼びかけたとAFP通信は報じた。

「我々は、法の支配と人権を尊重した盤石かつ万人参加の、責任をもって機能する民主的なパレスチナ自治機関が、パレスチナの人々にとって、民主主義の正当性にとって、そして最終的には二国間解決にとって、非常に重要であると固く信じている」と彼は述べた。 

今回の投票日延期は、パレスチナ人たちの分断をさらに深刻化させている。

元アルクドゥス大学学長であり未来党候補者リストの二番目に記載されているサリ・ヌセイベ教授は、アッバス大統領に対して、「ファタハ中央委員会および大統領を辞任し、直ちに交渉と委員会の再開を首相に委ねるよう」要求した。

これまで一貫してファタハのメンバーであり、イスラエルに投獄されたこともあるヌセイベ氏は、これが「爆発を避けるための」唯一の方法だとアラブニュースに語った。

「パレスチナの人々は爆発寸前であり、この窮地から抜け出す最善の方法は、選挙の実施を断言して選挙運動を開始させることだ。これには、民主主義的枠内での市民の抵抗が必要となるかも知れない」と彼は述べた。

パレスチナ中央選挙管理委員会は4月18日、イスラエルが候補者を逮捕しているとし、特に、占領下のエルサレムで選挙活動している候補者が逮捕されているとして非難した。

これまでの選挙と同様にエルサレムの住人は、東エルサレムにある6ヵ所の郵便局で投票することになっており、そこでの最大投票者数は6300人となる。郵便局は依然としてイスラエルの支配下にあるため、これにはイスラエルの承認が必要となる。

エルサレムに住むダハラン改革党支持の広報担当であるディミトリ・ディアニ氏は、アラブニュースに次のように語った。「今回の選挙の中止は、マハムード・アッバスが、自身やその仲間がパレスチナの人々から嫌われているという現実から逃避するためのやり方だ。アッバスは、パレスチナに幾ばくかの民主主義が残っていたにせよ、それを容易く投げやり、自身の独裁政治の下に葬り、イスラエルの介入問題へとすり替えたのだ」

米国務省は、パレスチナの選挙投票には距離を置いているように見える。ネッド・プライス報道官は、ワシントンで報道陣に対して次のように語った。「民主主義的な選挙の実施は、パレスチナの人々、そしてパレスチナの首脳陣が決定する問題だ。我々はすべての人々が参加する政治プロセスを信奉している」

トール・ヴェンネスランド国連中東和平プロセス特別調整官は、「多くのパレスチナ人の失望は大いに理解できる。彼らは16年近く選挙が不在であった後、自分たちの民主主義的権利を行使したいとの願いを非常に明確に表明していた」

ヴェンネスランド氏は、新たな選挙投票日の発表を求め、「パレスチナの人々には民主主義の道を歩み続けることを勧める。事前の同意に規定された通り、東エルサレムを含む占領下のパレスチナ自治区全域で、透明かつすべての人々が参加する選挙を実施することは、パレスチナ自治機関の正当性と信頼性を再確認するためにも依然として不可欠だ」と述べた。

トルコ外務省は、イスラエルに対し、「妨害的政策を終わらせ、1995年のオスロ暫定合意の条項を尊重し、パレスチナの選挙の早急な実施を保証するよう要求する」との声明を出した。

同声明は、今回の選挙延期の決定が「パレスチナ自治区内の和平プロセスに否定的な影響を与えることのないよう望む。我々はそれを非常に重視している。すべてのパレスチナ人グループに対し、統一と和解に向けて努力し続けるよう勧める」と述べている。

アッバス大統領が顧問らと会談する間、ラマラでは激しい抗議の声が起こった。

ファタハの幹部たちは、エルサレムを含めるべきとのアッバス大統領の主張を支持する集会を、ヨルダン川西岸各地で開催した。

ガザ地区の抗議活動やハマス幹部の発言は、選挙を中断する決定がこのまま続けば困難な夏になることを示唆している。

ベツレヘムのアントン・サルマン市長は、「すべてのパレスチナ人は、エルサレムが選挙に参加することを望んでいる」と述べた。

サルマン氏は国際社会に対し、「エルサレムの立ち位置を変更しようとするイスラエルの企てに対して立ち上がる」よう求めた。

メディア関連の女性教育施設の所長であるスヘイル・イズマエル・ファラジ氏は、フェイスブック上の自身のページで、より多くの人々が抗議しないのは、自ら規制をかけてしまっていることが原因かも知れないと述べた。

「我々パレスチナ人は、子供の頃から不正に立ち向かい、イスラエル人占領者たちに抵抗することを学んできた。しかし生活への危機感が多くの人々を黙らせている。パレスチナ自治政府は財政援助を必要とし、政党は月々の給付金が必要で、政府職員は職を失うことを恐れ、民間の社会団体でさえ、政府から活動を妨害されないようにするために恐れている」

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