
東京:企業などがランサムウエアの被害を警察へ申告した件数が急増したことが9日、警察庁のまとめでわかった。
警察庁は、昨年4月からランサムウエア攻撃事例のデータ収集を開始し、昨年12月までの被害相談が23件であったのに対し、今年上半期には22都道府県で61件となった。
ランサムウエア攻撃では、ハッカーが、パソコンのデータを暗号化し、復元の代わりに金銭を要求する。
同庁は、今年1月から6月の攻撃のほとんどは海外からのものとみている。日本では、昨年分からの申告事例の検挙事例はまだない。
同庁は来年度(2022年4月~)にサイバー犯罪対策用の捜査機関を新設するなどして海外との連携を強化する計画だ。
同庁によると、今年上半期は企業などに29件で直接的な金銭要求があった。主にビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)による支払いを求めた。
暗号化の解除に加え、盗んだデータを公開すると脅す「二重恐喝」の手口は27件あった。
同庁は、被害を受けた企業の支払いの有無については、答えなかった。
今年上半期の合計61件のうち、17件は大企業、40件は中小企業、4件は学校などだった。
業界別では、27件が製造業関連、次いで建設業、サービス業が共に8件となっている。
警察庁はまた、ランサムウエア攻撃に遭った企業などに対し、初のアンケート調査を実施した。
企業などの19件において、攻撃からの回復に少なくとも1週間かかり、2か月以上要したものも2件あった。
調査対象の40%近くが、調査・復旧費用に1千万円以上要したと回答した。
ほとんどの場合、テレワーク時に使用される仮想プライベートネットワークデバイスを介してシステムにアクセスするが、悪意のあるメール添付ファイルを介して拡散するものもある。
警察庁は、毎日、IPアドレスごとに平均6千件の疑わしいアクセスを検出している。 これは、ハッカーがコンピューターに侵入しサイバー攻撃する方法を盛んに探し出そうとしているということを表すものだ。
時事通信