
日本政府が電力各社に対し、液化天然ガス(LNG)の備蓄を増やし、エネルギー資源を共有することを要請したと、緊急時対応計画に詳しい関係者が語った。ウクライナで民間人が死亡していることが、東京をロシアからの燃料輸入停止に向かわせている。
資源に乏しい日本が欧米諸国と一緒になって、主要な石油・ガス生産国であるロシアを罰しているため、公共事業各社はすでにギリギリの状態にあるエネルギー源を求めて奔走している。金曜に岸田文雄首相がロシアの石炭輸入禁止とその他の制裁措置を発表したことで、エネルギー源の確保はますます困難になった。
7月に国政選挙を控える岸田首相は、世界第3位の経済大国である日本のエネルギー安全保障と、ロシアに対するより厳しい制裁を求める先進7カ国(G7)の圧力の間で、バランスを取ろうとしている。G7の圧力は、ウクライナでの残虐行為疑惑が広がる中で、ますます高まっている。
国際刑事裁判所は、ウクライナで明らかになった、ウクライナと複数のG7の首脳がロシアによる戦争犯罪と呼ぶものを調査している。モスクワはこの疑惑を否定し、隣国の非武装化と「非ナチ化」のための「特別軍事作戦」と呼ぶ今回の活動において、民間人への攻撃が行われたことを認めていない。
日本の経産省は電力各社に3週間分の備蓄を確保するように指示し、ガス会社と電力会社に対して、予備のガスを海外に提供するのではなく、互いに販売するように要請したと、上述の関係者はロイターに話した。
経産省当局者は業界代表者らとLNG対策についても協議していると、メディアとの対話が許可されていないため匿名を希望するこの関係者は述べた。
経産省に問い合わせたところ、コメントできる者がいないという対応だった。首相官邸はコメントを避け、質問への回答を関係省庁に任せた。
今回の措置は、昨年の電力不足の際に公共事業各社がとった措置と同程度の控えめなものであり、ロシアのLNGは日本全体の発電量のわずか3%を占めるに過ぎない。
しかし、日本には失敗の余地がほとんどない。2011年の福島第一原発事故の影響で原子力発電所が閉鎖されたことにより、発電能力が低下しているためである。先月の地震発生時は一部の発電所が一時的に機能停止し、大規模な停電の警告が出された。
不確実な供給
日本はロシアのエネルギーへの依存度を下げることを目指すが、日本政府と民間企業が出資するロシア極東地域の「サハリン」石油・ガスプロジェクトからの輸入は続けると、岸田首相は最近述べている。
しかし、ロシアが「非友好的な」ヨーロッパ諸国に対して、ルーブルで支払わなければガスの供給を遮断すると脅したことで、日本がサハリンからのガス供給を続けられるかどうかは、あまり確実ではなくなった。
数ヶ月分のLNGを地下に貯蔵できるヨーロッパ諸国とは異なり、日本にはこの超低温燃料を維持できる貯蔵能力が3週間分しかない。
ロシアからのエネルギー輸入に対する不安が高まる中、日本の公共事業各社は、日本で消費されるLNGの9%を占めるロシア産ガスに代わる調達源を探し始めた。LNGは発電に使われるほか、家庭や企業にもパイプで送られている。
「それ(サハリンのLNG)の輸入ができなくなる場合、他の供給源を探すか、他の会社から一部を入手することになる」と、広島ガスの松藤研介社長は先週述べた。
岸田氏の地元地域への供給を担い、LNGの半分をロシアから得ている同社は、マレーシアを含む他の国からのガス購入について協議中であると、同社広報担当者はロイターに話した。
LNGの10分の1をロシアから調達している東京ガスは、約5倍に値上がりしているスポット市場での調達を避けるため、生産国からの直接購入を増やそうとしている。
同社は米国のLNG生産者に接触してきたが、出荷量増加の約束にはまだ至っていないと、内田高史社長は日経新聞に語った。
東京ガスの広報担当者は、同社は既存の契約に基づいて米国からの供給を増やすことができると述べたが、そうすることを要請したかどうかについては言及を避けた。
ロイター