
ワシントン時事:訪米中の萩生田光一経済産業相は4日、首都ワシントンで米経済閣僚と相次ぎ会談した。日米共同文書によると、覇権主義的な動きを強める中国や、ウクライナに侵攻したロシアを念頭に、「世界経済秩序の脅威」への対応で緊密に連携する方針で一致。半導体やエネルギー分野における中ロ依存から脱却を図る姿勢を打ち出した。
萩生田氏はレモンド商務長官、タイ通商代表部(USTR)代表、グランホルム・エネルギー長官らと会談後、記者団に「世界情勢が不安定化する中、有志国との連携がますます重要になっている」と強調。今月下旬の日米首脳会談を前に、民主主義の価値観を共有する日米が国際的な経済・エネルギー安全保障の再構築を主導する考えを示した。
米中ハイテク競争の主戦場である半導体分野では、日米が同志国・地域と共にサプライチェーン(供給網)を強化する「半導体協力基本原則」で初めて合意。オープンな市場、透明性、自由貿易を基本に、半導体不足などの緊急時に協調するホットラインを新設する方針だ。台湾有事などの地政学リスクをにらみ、調達先を分散させる思惑もある。
日米共同文書によると、半導体のほか、輸出管理、デジタル経済、貿易・投資の各分野で重点的に協力することを確認した。輸出管理には、中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害やロシアによるウクライナ侵攻に、日米のハイテク製品や機微技術が利用されるのを阻止する狙いがある。
エネルギー分野では、資源大国ロシアへの依存度を引き下げる対応策を明記した共同声明をまとめた。ロシアに制裁を科した国・地域にとって「米国産の液化天然ガス(LNG)が(ロシア産ガスの代替品として)大きな役割を果たす」との認識を共有した上で、日本は米国のLNG増産を資金面で支援すると伝えた。
対ロシア制裁をめぐっては、欧州連合(EU)が石炭に続き原油の輸入を禁止する案が浮上している。萩生田氏は「日本は資源に限界があり、直ちに足並みをそろえて(禁輸措置を講じる)というのは難しい」と日本の立場を説明。バイデン米大統領が週内に先進7カ国(G7)で追加制裁について協議する意向を示したことについては「方向性は共有したい」と述べた。
時事通信