
カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で、衆院議員秋元司容疑者(48)に贈賄工作したとされる中国企業が、2014年12月期をピークに業績を急速に悪化させていたことが28日、関係者への取材で分かった。日本での事業参入で挽回を図ろうと秋元容疑者に接近した可能性があり、東京地検特捜部が企業側と同容疑者の関係を調べている。
関係者や民間信用調査会社によると、中国企業「500ドットコム」は01年設立で、サッカーやバスケットボールなどのオンラインくじを手掛ける。ニューヨーク証券取引所に上場した翌年の14年12月期に売上高94億円の最高業績を記録したが、15年12月期は16億円に急減。16年12月期は1.7億円まで減り、58億円の営業損失を計上した。
東京都内に国内での活動拠点となる日本法人を設立したのは、この翌年の17年7月で、同8月に那覇市でIR関連シンポジウムを開催した。知名度を上げる目的だったとされ、秋元容疑者に基調講演を依頼した。
ドットコム社が予定していた講演料は50万円だったが、講演3日後にIR担当の内閣府副大臣に就任する人事を知り、急きょ200万円に増額。翌月28日に衆院が解散されると、「陣中見舞い」として、その日のうちに現金300万円を手渡したという。
特捜部は「陣中見舞い」をIR事業参入で有利な取り計らいを受けようとした賄賂だったとみて、ドットコム社顧問の紺野昌彦(48)、仲里勝憲(47)両容疑者ら3人を贈賄容疑で逮捕した。
3人は18年2月に秋元容疑者の家族を北海道旅行に招待、費用を負担した疑いでも逮捕され、一部は贈賄工作の詳細を供述しているとみられる。秋元容疑者はいずれの収賄容疑も「身に覚えがない」と全面否定している。
時事通信社