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北朝鮮、新型コロナ感染初確認 金総書記は封鎖を指示

2020年12月28日に撮影されたファイル写真。営業開始前の平壌第1百貨店内にて消毒剤を散布する医療従事者。(AFP)
2020年12月28日に撮影されたファイル写真。営業開始前の平壌第1百貨店内にて消毒剤を散布する医療従事者。(AFP)
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12 May 2022 09:05:05 GMT9
12 May 2022 09:05:05 GMT9

ソウル:北朝鮮は、国内で初めて確認された新型コロナウイルス感染症を抑え込むため、木曜日に全国的なロックダウンを指示した。大いに疑われてはいたものの、北朝鮮は2年以上にわたって世界のほぼ全域に広がる新型コロナウイルスを完全に遮断していたという主張を続けていた。

今回の感染確認により金正恩総書記は、パンデミックが始まって以来おそらく初めて公の場でマスクを着用することになったが、北朝鮮国内における感染の規模はすぐには明らかにされなかった。北朝鮮は医療制度が不十分であり、2,600万人の国民のほとんどがワクチン接種を受けていないと考えられているため、感染を食い止めることができなければ、深刻な事態に発展する可能性がある。北朝鮮が珍しく感染を認めたことで、外部からの援助を求めるのではないかと見る専門家もいる。

朝鮮中央通信(KCNA)によれば、首都平壌で発熱した不特定多数の人々から採取した検体を分析した結果、オミクロンの変異型に感染していることが確認されたという。

これを受けて金総書記は、与党政治局会議で市と郡の徹底的な封鎖を指示し、ウイルスの拡散を防ぐために職場を部署ごとに隔離すべきと発言したと、KCNAは報じている。また、職場や家庭での消毒への取り組みを強化し、予備の医薬品を動員するよう医療従事者に促した。

金総書記は、一刻も早く感染状況を落ち着かせ、感染源をできるだけ早く除去することが肝要であり、同時にウイルス対策による国民の不便を緩和することも重要であると述べた。金総書記は、政府と国民は「一致団結」しており、「予期せぬ」感染拡大を必ず乗り越えると強調した。

北朝鮮の国営テレビは、金総書記と他の高官がマスクをつけて会議室に入る様子を映していたが、金総書記はマスクを外してマイクに向かって話していた。KNCAが公開した画像では、金総書記がマスクを外した状態でテーブルの上座に座っており、他の高官は全員マスクを付けたままであった。

南北問題を扱う韓国統一部は、パンデミックが始まって以来、金正恩がマスクを着用しているのを国営メディアが映したのが初めてかどうかは、すぐには確認できなかったという。

北朝鮮は2年以上にわたって国境で厳格なウイルス対策を継続しており、新たな封鎖措置の詳細については明らかにしなかった。ただし、韓国側を訪れたAP通信のカメラマンは、北朝鮮国境の町で農作業を行ったり歩道を歩いたりする数十人の人々を目撃している。つまり、今回のロックダウンでは自宅待機を求められていない、あるいは農作業は例外であることがうかがえる。

韓国の世宗研究所のアナリストであるチョン・ソンチャン氏によれば、国営メディアに記載された措置と、経済的目標を達成すべきとの金総書記の宣言から察するに、北朝鮮は国民を厳しく家に閉じ込めているわけではなく、ウイルスの拡大を遅らせるために地域間の移動と物資を制限することに重点を置いているのではないかとのことだ。

北朝鮮政府は、国連が支援するCOVAXファシリティが供給するワクチンを拒否しているが、これはおそらく国際的なモニタリングが必要だからだろう。

韓国統一部は、韓国は人道的配慮に基づいて北朝鮮に医療支援やその他の援助を提供する意思があると述べた。核交渉の行き詰まりと北朝鮮の挑発的な武器実験の増加を受け、2019年以降、南北関係は悪化している。

韓国の高麗大学医学部のキム・シンゴン教授は、「北朝鮮は外部からワクチンの供給を受ける意思を示している可能性は高いが、国民全体に複数回ワクチンを接種させるため、COVAXが提供するよりも多くの量を望んでいる」と指摘した。また、北朝鮮は新型コロナ関連の医薬品や、国連制裁で禁止されている医療機器の輸送も望んでいるだろうと述べた。

変異株であるオミクロン株は、初期の変異株よりもはるかに容易に広まり、ワクチン未接種の高齢者や既に健康問題を抱えた人々の間での致死率と入院率は高くなっている。つまり、北朝鮮には新型コロナ患者を治療するための医療機器や薬が不足しており、国民の多くが栄養不足であるため、今回の感染が「深刻な事態」を引き起こす可能性があると、キム・シンゴン教授は言う。

北朝鮮の健康問題に焦点を当てたウェブサイトDPRKHEALTH.ORGの代表であるアン・キョンス氏は、北朝鮮は新型コロナ治療薬の国際輸送を望んでいるかもしれないと述べた。しかしキョンス氏は、北朝鮮と長い国境を接する中国がウイルスへの懸念から多くの都市を封鎖していることから、北朝鮮がウイルス感染を認めたのは、国民にウイルスに対する警戒を強く求めるためであろうとも語った。

ウイルス対策が強化されているにもかかわらず、金正恩総書記は政府関係者に、予定されている建設工事や農業開発などの国家プロジェクトを推進し、安全保障上の空白を避けるために国の防衛態勢を強化するよう命じた。

韓国の梨花女子大学の国際学教授であるリーフ・エリック・イーズリー氏は、失敗に終わった中国の「ゼロコロナ」のアプローチが、動きの速いオミクロン株には有効でないことを示唆しているにもかかわらず、北朝鮮はロックダウンをさらに強化する可能性が高いと話す。

「北朝鮮がオミクロン株の感染者を公に認めるからには、公衆衛生の状況は深刻であるはずです」とイーズリー教授は言う。「だからといって北朝鮮が突然、人道支援に前向きになり、米国や韓国に融和的な姿勢を示すわけではありません。しかし金政権関係者は、緊急の脅威が外国の軍隊ではなくコロナ関連である今は、核やミサイルの実験にはあまり意欲的ではないかもしれません」と述べた。

これまでの「新型コロナの症例はない」という北朝鮮の主張には、多くの外国の専門家が異論を唱えていた。しかし韓国の政府関係者は、北朝鮮がパンデミックのほぼ初期から厳格なウイルス管理を実施していたこともあり、大規模な感染拡大を回避できた可能性が高いと話している。

新型コロナウイルスが世界中に広がる前の2020年初頭、北朝鮮はウイルスを遮断するために厳しい措置を取り、「国家の存立」に関わる問題だと説明した。新型コロナ感染症に似た症状のある人々を隔離し、国境を越えた往来と貿易を2年間全面的に停止し、国境を越えた者はその場で射殺するよう軍に命じたとさえ言われている。

極端な国境閉鎖は、数十年にわたる失政と核兵器およびミサイル開発計画に対するアメリカ主導の制裁によってすでにダメージを受けていた経済に、さらなる打撃を与え、おそらく2011年の政権獲得以来、金正恩総書記は最も困難な状況に追いやられた。

2019年後半に中国中央部の武漢市で初めて検出されたウイルスが、南極を含むすべての大陸に広がって以降、北朝鮮は、新型コロナ患者が確認されていない世界最後の場所の1つとなっていた。中央アジアにある、同じく秘密主義・権威主義的な国家であるトルクメニスタンも、世界保健機関(WHO)に感染者がいないことを報告しているが、その主張も外部の専門家から大いに疑われている。

ここ数ヶ月、地理的に隔離されているためにウイルスを寄せ付けなかった太平洋の島国でも、感染者が出たことが記録されている。人口1万2千人ほどの小国ツバルだけが、今のところ新型コロナウイルスを遮断できており、その他数カ国(ナウル、ミクロネシア、マーシャル諸島)は、水際で感染を食い止め、国内での大発生を免れている。

北朝鮮における今回の感染は、緊密な同盟国であり貿易相手国である中国が、このパンデミックにおける最大規模の感染状況に対処する最中に起こった。

北朝鮮は1月、国境の町新義州と中国の丹東を結ぶ鉄道貨物輸送を2年ぶりに暫定的に再開したが、中国は先月、北朝鮮と国境を接する遼寧省で感染が発生したため、この貿易を停止している。

ロイター

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