
ラワー・タラス
ドバイ
日本は新天皇の即位を祝う伝統的な儀式を、世界各国の要人を招いて執り行う。この度今上天皇として即位の礼に臨まれる徳仁様とはどのようなお方で、その御代を示す新元号にはどのような意味があるのだろうか。
今年の前半、日本国民は政府が新元号を発表するのを待っていた。新元号は、天皇として30年間日本の国家元首を務められた明仁様が退位されることを受け、制定される運びとなった。
それぞれの天皇には御代がある。天皇が特定の年代を象徴するこのシステムは、政治や国民の日常生活にも影響を及ぼす。元号は政府の公文書や国内の新聞、カレンダーなどで使われているからだ。
しかし元号名は書類に記載される以上に重要な意味を持つ。
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院の上級講師であるグリゼルディス・キルシュ博士は、「その天皇の御代がどのようなものになるか、元号にはある種の意図や方針が反映されていると言われています」とアラブニュースに語った。
新元号に選ばれたのは「令和」だった。公式の英訳では「美しい調和」となる。今上天皇はこの令和の御代のもとで雅子皇后と世を送られる。令和は『万葉集』と呼ばれる日本の古典詩歌集を典拠とする二字熟語だ。
しかし、キルシュ博士によると、令和には「意味がはっきりしない」として議論の的となっている部分がある。
言語学的に見ると、熟語に含まれる漢字の意味が時代を経るに従い変化しており、加えて、正式な英訳としてどれがふさわしいかについても識者の間で意見の一致を見ていない。「令和」はまた、前代の「平成」(平和を成し遂げる)と比べるとやや消極的な語感があるということだ。
「令和は懐古的で後ろ向きだと捉える人も中にはいます」とキルシュ博士は言う。「多少内向きのニュアンスが感じられるのは否めません。日本とその国内の調和について述べており、世界全体のことは考えていないのです。2文字目の『和』にそれが端的に現れています。これは『日本人』または『日本』を意味すると捉えることも可能だからです」
この度即位の礼に臨まれる今上天皇と皇后は、比較的お若いということもあり、「現代的カップル」と呼ばれることが常だった。特に雅子皇后についてはそうだ。
雅子様は皇后という立場になられた方としては、やや異色の経歴をお持ちだ。ハーバード大学を卒業され、5か国語を流暢に話される外交官だったが、皇室に嫁ぐ道を選ばれた。
当時は皇太子であった徳仁様——オックスフォード大学を卒業され、水問題の専門家として環境問題に関心をお持ちだ——が雅子様から結婚の承諾を取り付けるのに、6年間を要した。お二人は1993年に結婚された。
憲法で規定された天皇としての務めを果たすにあたり、今上天皇はご自身の御代が日本国民、そして皇室にも「爽やかな風」をもたらすことを期待されている。