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サウジアラビアのNEOMおよびKAUST、絶滅が危惧されるウミガメ種の保護に向けて協力へ

気候変動は地球上のあらゆる生物に影響を及ぼしており、ウミガメも例外ではない。(シャッターストック)
気候変動は地球上のあらゆる生物に影響を及ぼしており、ウミガメも例外ではない。(シャッターストック)
写真/シャッターストック
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アミール・エウェイダ博士 (写真/提供)
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アミール・エウェイダ博士 (写真/提供)
アミール・エウェイダ博士 (写真/提供)
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11 Jul 2021 01:07:32 GMT9
11 Jul 2021 01:07:32 GMT9
  • 健康な岩礁があり、王国による保護が提供されている紅海沿岸は、絶滅の危機にあるウミガメにとって安全な営巣地となっている

フーダ・アル・ シャール

ジェッダ:数種類のウミガメが減少傾向にあることを受け、NEOMとサウジアラビア・アブドラ王立科学技術大学(KAUST)は、その保全と保護を確実にするべく対策に乗り出した。

紅海には、7つの異なる種類が存在するウミガメのうち5種が生息している。そこには絶滅が深刻に危ぶまれるアオウミガメとタイマイが含まれており、NEOMは、彼らの聖域として認められるようになっている。

KAUSTの著名な海洋生物学者であるカルロス・ドワーティ氏は、ウミガメが絶滅の危機に瀕しているのは独特の甲羅を求めて乱獲されたためであると解説した。

「ウミガメの甲羅はヨーロッパにおいて歴史的に人気が高く、現在でも密漁され、ブラックマーケットで取引されています。」とドワーティ氏は述べた。「ベッ甲は、櫛やブレスレット、サングラスやその他の素材を作るのに利用されています。装飾品として甲羅を買うだけの人もいます。」

ウミガメの卵の収集はかつてほど一般的ではなくなったものの未だ起こっており、個体数に影響を与えている、とドワーティ氏は付け加えた。

紅海の珊瑚礁はよく管理され、健康である。そのためタイマイは良い餌場を見つけることができる。(シャッターストック)

ウミガメは、人からの他の脅威にも晒されている。「ウミガメは爬虫類ですから、呼吸をしに水面へやって来ます。その際、急速回転するボートの金属プロペラが甲羅に刺さることがあるのです。背甲のすぐ下にある肺を傷つけられることさえあります。」と、KAUSTの博士課程学生として紅海に生息するウミガメの営巣生態学と保全に取り組むリンゼー・タナベ氏は説明した。

「カメたちは、水中のプラスチックに頻繁に絡まります。そのせいで呼吸が間に合うように水面へ浮上できなければ、溺れ死ぬこともあります。」

タナベ氏によると、ウミガメが溺れ死ぬ最も一般的な例は、魚を捕らえるために漁師が仕掛けた網に巻き込まれるというものだ。通常、網は海中に捨てられたままになる。また、餌であるクラゲと見間違い、プラスチック片を飲み込むことも多い。

ドワーティ氏は、絶滅危惧種のウミガメたちにとって紅海沿岸がどれほど安全な営巣地であるかをアラブニュースに伝えた。健康な岩礁と、王国による保護が彼らを守っているためだ。

「幸いにも、紅海の珊瑚礁は管理が行き届いており素晴らしい健康状態です。そのため、タイマイは良い餌場を見つけることができるのです。彼らを捕らえることは王国では違法です。ここではウミガメの面倒がよく見られており、保護の対象になっています。」とドワーティ氏は語った。

紅海の珊瑚礁は管理が行き届いており素晴らしい健康状態です。そのため、タイマイは良い餌場を見つけることができるのです。(シャッターストック)

王国の海岸沿いにある良い営巣地を数カ所、ドワーティ氏は挙げた。そして最優良地域はサウジアラビアの北西に位置し、現在はNEOMの管理下にあると述べた。

NOEMでは、絶滅危惧種の保護と環境の保全を意図して様々なプログラムやプロジェクトを実施している。

絶滅危惧種のカテゴリーには、低危険種、絶滅危惧II類、絶滅危惧IB類、絶滅危惧IA類がある。NEOMは、ウスズミハヤブサ、ウスイロイルカやジンベエザメなど、4カテゴリーに属する全ての生物の保護に全力を注いでいる。

しかしシュモクザメやタイマイなど、絶滅危惧IA類の生物には中でも重点的な取り組みが行われている。

NEOMの海洋保護環境部門ディレクターを務めるアミール・エウェイダ博士は、熱帯海洋性気候が見られる地域としては世界最高緯度にあるために、NEOMの海辺や沿岸はウミガメにとって最適な営巣地であり餌場であると述べた。この気候条件のおかげで、一帯の珊瑚礁と海草はウミガメの理想的な栄養源となっている。

「NEOMをウミガメにとって独特な場所にしているのは、沖合にある島々です」とエウェイダ博士は語った。「ウミガメたちが簡単にたどり着けるそれらの島々は、巣作りに適した安全な場所です。全ての島でかなりの数の巣が見つかっており、紅海にいるウミガメの60〜70%がNEOMの島に巣を持っていると言えるのではないでしょうか。」

また、NEOMとその島々のビーチで見られる砂の種類は巣作りに大変適していると博士は述べた。

NEOMの自然環境が完璧なことに加え、NEOMビーチへの訪問客は厳格なガイドラインを守ることになっている。ウミガメの邪魔をせず、彼らの住処を害さないようにするためだ。

エウェイダ博士は、カメたちの営巣地を建造物から守るため、その周囲に緩衝材を敷いたと補足した。

NEOMとKAUSTの両者とも、ウミガメの行動をより深く理解し、他にどのような方法で彼らを保護できるのか、彼らが何から保護されるべきなのかを解明しようとプロジェクトに取り組んでいる。

KAUSTでは、ドワーティ氏がレッドシー・デベロップメント・カンパニーおよびNEOMと協力し、紅海内でウミガメをタグ付けし、追跡するプロジェクトを実行している。沿岸生息地をウミガメがどのように利用しているのか、またそれらの大きさ、頻度、そして個体数の分布について理解を深めるのが目的だ。

ウミガメの存在は、海洋生態系の基本的な機能にとって極めて重要だ。「ウミガメは、いわゆるキーストーン種です」とエウェイダ博士は述べた。「つまり、生態系が機能するためには彼らが欠かせないのです。ウミガメは周りにいる他の生物に影響を与え、バランスを保っています。キーストーン種が生態系から取り除かれれば、バランスと秩序は自然と崩壊し、他の全ての生物に害が及ぶようになります。」

タナベ氏は、タイマイの餌のほとんどは海綿であると付け足した。「そして海綿は、珊瑚礁より多くのスペースに広がって珊瑚にダメージを与えます。ですから海綿を取り除くことで、タイマイは珊瑚礁を他の生物たちが生息可能な、健康な場所に保つのです。」

ドワーティ氏は、ウミガメがいなければクラゲ個体数の異常増殖を招きかねないと述べ、生態系におけるアオウミガメの重要な役割を強調した。「彼らは海草を食べます。ですから彼らがいないと海草が過量になりかねず、そうなれば酸素濃度に影響を及ぼし、当然の成り行きとして高い死亡率が引き起こされます。連鎖反応が起こるのです。それが、彼らを保護しなければならない理由です。」

王国の西海岸沖にいるウミガメたちは十分な保護を受けている。だがそれでも、他の自然要因が彼らを脅かしていることに注意しなくてはならない。NEOMやKAUSTのような組織は、そういった脅威から彼らを守ることはできないのだ。

他の多くの生き物と同じように、ウミガメも動きまわる傾向がある。そしてウミガメ漁が現在も一般的な、他の海洋や沿岸、ビーチへと回遊する。

その一方で、気候変動が地球上のあらゆる生物に影響を及ぼしており、ウミガメも例外ではない。海水温は、カメの性別を決める。そのため水温が極端な水準になれば、一方の性別を持つ個体数を減らすことになるのだ。

NEOMとKAUSTの専門家らは、ウミガメの命に「非常に好ましい」影響をもたらす小さな変化は、個人が行えると述べた。例えば、プラスチックの利用削減や、ビーチや水中へゴミを捨てないこと、そしてウミガメの邪魔をしないためにビーチにある営巣地に気を付けること、といった単純な行動が含まれる。特に捨ててはいけないのが、ナイロン製の釣り糸だ。そのような糸はウミガメの足ヒレに巻きつき、骨へ食い込むことがあるのだ。

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