防衛省は8月末にまとめる2023年度予算概算要求について、過去最大となる5兆5000億円台とする方向で調整に入った。これに加え、予算額を明示しない「事項要求」を多数盛り込む。複数の関係者が2日、明らかにした。
概算要求として過去最大は21年度の5兆4898億円。予算としては22年度の5兆4005億円が過去最大で、23年度は最終的にこれを上回る見通しだ。
岸田文雄首相は5月の日米首脳会談で防衛費の「相当な増額」を表明。政府が6月に閣議決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」は、北大西洋条約機構(NATO)が国内総生産(GDP)比2%の目標を掲げていることに言及した。
政府は防衛費について「予算編成過程において検討する」としている。事項要求分については、与党との協議を経て、国家安全保障戦略など3文書を改定する年末までに決める。自民党には「6兆円台半ば」(茂木敏充幹事長)を求める声もある。
一方、防衛費増額をめぐっては財源が焦点だ。首相は防衛力強化について「内容と予算と財源は3点セットで考えなければいけない」としており、今後、具体的な検討が進む。国債発行や増税、社会保障費の切り下げなどが取り沙汰されている。
時事通信