大型の台風14号は18日夜から19日朝にかけて九州を縦断し、山口県から山陰地方へ進む見通しとなった。「強い」勢力ではなくなったが、同日夜に日本海へ抜けた後、20日朝にかけて北陸や東北に向かう可能性がある。気象庁は西・東日本を中心に大雨による土砂災害や河川の氾濫、暴風、高波、高潮に厳重に警戒するよう呼び掛けた。
同庁は17日夜に鹿児島県(奄美地方を除く)に出した暴風や波浪、高潮の特別警報を19日午前8時までに警報や注意報に切り替えたり、解除したりした。宮崎県の大半の地域に出していた大雨特別警報も午前11時に警報に切り替えた。黒良龍太予報課長は記者会見し、「本当に多くの雨が降っている。土砂災害は雨がやんだだいぶ後に起きることもあるので、警戒を緩めないでほしい」と話した。
宮崎県都城市では19日、水没した車内から60代男性が発見され、死亡が確認された。総務省消防庁の同日朝のまとめでは、台風による重傷者が愛媛、宮崎両県で1人ずつ、軽傷者が山口県と四国、九州で計15人。九州では約27万世帯計約56万人に「緊急安全確保」が発令され、西日本で約430万世帯計約916万人に避難指示が出された。
九州北部と中国、四国、近畿、東海では、発達した雨雲が連なる線状降水帯が発生する恐れがある。
愛媛県四国中央市では19日午前1時55分ごろに最大瞬間風速47.4メートルを観測。香川県東かがわ市では午前4時すぎまでの1時間に60.5ミリの非常に激しい雨が降った。宮崎県美郷町では15日午前0時の降り始めから19日午前11時までの総雨量が985ミリに上った。
14号は19日午前11時、山口市付近を時速15キロで北東へ進んだ。中心気圧は975ヘクトパスカル、最大風速30メートル、最大瞬間風速45メートル。北東側260キロ以内と南西側185キロ以内が風速25メートル以上の暴風域、東側750キロ以内と西側650キロ以内が風速15メートル以上の強風域。
19日に予想される最大瞬間風速は近畿と中国、四国、九州北部45メートル、東海と北陸、九州南部35メートル。波の高さは四国10メートル、東海と近畿、中国、九州北部8メートル、関東と九州南部6メートル、北陸と奄美5メートル。
20日正午までの24時間予想雨量は多い所で、東海400ミリ、関東甲信と近畿300ミリ、四国250ミリ、北海道と東北、北陸、中国150ミリ、九州北部100ミリ。その後、21日正午までの同雨量は、北海道と関東甲信、北陸50~100ミリ。
時事通信