北京時事: 日中国交正常化50周年の節目を控える中国で、新型コロナウイルスや台湾情勢をめぐる緊張が祝賀ムードに影を落としている。
今年に入り、各地でシンポジウムなどの交流イベントが開かれているが、「盛り上がりに欠ける」(日中友好団体幹部)といった指摘が相次いでいる。
正常化40周年の2012年は、日本政府の尖閣諸島国有化を受け、中国各地で反日デモが発生。
記念行事は中止が相次ぎ、日中関係は「国交正常化以来、最悪」と言われる事態となった。
その後、日中双方が歩み寄り、首脳の相互往来も実現するなど関係改善の動きが続いた。
しかし、19年12月に中国で最初に確認された新型コロナの感染が世界に拡大すると、日本の対中感情が悪化した。
台湾情勢や人権問題をめぐっても対立が深まり、正常化50年の今年も祝賀の機運は乏しい。
20年春に予定されていた習近平国家主席の訪日は延期され、実現のめどは立っていない。
中国では、日本の台湾接近への警戒感が最近特に強まっている。
12年のイベントにも関わった日中友好団体の中国側関係者は「50周年はきっと盛り上がると思っていたが、その機運が全くない。
台湾問題で日本に裏切られた感じがある」と話す。
日本は国交正常化の際、台湾は中国領土の不可分の一部であるという中国の立場を「理解し、尊重する」と表明した。
共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)は今月、日本が当時の言葉に「背を向けようとしている」と非難。
約束を守ってこそ「2国間関係にとって良好な状態をつくり出すことができる」とくぎを刺した。
中国の厳格な「ゼロコロナ」政策で両国間の人の往来が困難なことも祝賀の阻害要因だ。
相次ぐ行動制限で中国ではイベントの開催すら難しい。
「日本好き」を自認する北京在住の40代夫婦は「盛り上がらないのはコロナのせい。
旅行が解禁されたら真っ先に日本に行きたいが、50周年イベントに参加しようとは思わない」と語る。
別の北京市民も「コロナで自分の生活が苦しい中、そもそも何かを祝う気分になれない」と心情を吐露した。
時事通信