
中国湖北省武漢市で発生している新型のコロナウイルスが原因とみられる肺炎について、厚生労働省は16日、同市から帰国した神奈川県の30代男性から同型ウイルスの陽性反応が出たと発表した。国内で患者が確認されたのは初めて。
政府関係者によると、男性は中国人。政府は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、情報収集を進めている。
厚労省によると、男性は同市滞在中の3日から発熱があり、帰国した6日に医療機関を受診。9日に39度の高熱が出て、重症化の兆候があったため10日に入院したが、その後症状が軽くなったことから15日に退院した。
国立感染症研究所が検査したところ、15日夜に同型ウイルスの陽性反応が出た。男性は自宅で療養しており、家族や病院関係者への感染は確認されていない。
男性は、患者が多く報告されている武漢市の海鮮市場には立ち寄っていないと話しているが、現地で肺炎患者と接触した可能性があるという。
厚労省結核感染症課の日下英司課長は「患者と一緒に生活するなどの濃厚接触があった場合に感染する可能性は否定できないが、感染拡大のリスクは低い」と強調。マスクの着用や口と鼻を押さえる「せきエチケット」、手洗いなど通常の感染症対策のほか、武漢市への渡航歴がある人でせきや発熱などの症状があった場合は速やかに医療機関を受診し、渡航歴を申告するよう求めた。
新型肺炎は昨年12月以降、武漢市で相次いで報告されている。41人から新型コロナウイルスが検出され、61歳の男性が死亡。同市からタイを訪れた中国人からも同型ウイルスが検出された。同市政府は15日、夫婦の発症例があったとして、ヒトからヒトへ感染する可能性は排除できないとの見方を示している。
時事通信社