
28日、日本の岸田文雄首相は、脆弱な経済を下支えするために政府と日銀が追求すべき新たな金融政策の目標に賃金上昇を追加する可能性を否定した。
日銀の黒田東彦総裁もまた、実質賃金の上昇を日銀の政策目標にすることは難しいと述べ、岸田首相と同様の見方を示した。
「見直しは考えていない」。2013年に日銀と政府が合意した共同政策声明について文言の修正を野党議員から求められ、岸田首相は国会でこう述べた。
また首相は、「政府は日銀と緊密に連携して、賃金を押し上げる政策を準備する」と述べた。
当時の安倍晋三首相からの圧力を受け、日銀は2013年に政府との共同声明に署名し、2%のインフレ目標を「可能な限り早期に」達成するうえで中央銀行が果たす役割を明確にした。
その声明はまた、政府に対し、健全な財政政策を実現し、日本の潜在的成長力を高めるための構造改革を実行することも求めている。
一部の野党議員や学識者は、インフレ率上昇とそれに伴う賃金上昇の欠如が家計に打撃を与えているとして、声明の文言修正や新たな声明の作成を提案している。
評論家たちはまた、何年にもわたる超低金利政策と日銀による巨額の資産買い入れが金融機関の利益を圧迫し、日本国債(JGB)市場の流動性を低下させているとして、金融緩和長期化によるコスト上昇についても警告している。
インフレ率は日銀が目標とする2% を上回っているが、生活コストの上昇を補うのに十分な賃金上昇が見られるまでは日銀の大規模な景気刺激策は維持する必要があると、黒田総裁は繰り返し強調してきた。
ロイター