
財務省は28日、税関による取り締まり強化や効率化に向けた最新の行動計画を発表した。眼鏡型端末「スマートグラス」による遠隔監視などデジタル技術を積極的に活用し、急増する輸入貨物や経済安全保障上の問題に対応するのが柱。軍事転用の恐れがある製品・技術の不正輸出防止へ情報分析部門も設ける。
税関は今年で発足150周年を迎えた。今回新たに行動計画が発表されたのは、越境の電子商取引(EC)やコロナ禍に伴う巣ごもり需要の拡大で、小口貨物が急増している背景がある。今年上半期の輸入許可件数は、海上貨物が前年同期の約2.2倍、航空貨物が約1.2倍に増加。申告内容を改ざんしたり不正薬物が押収されたりといった事案が発生した。
この対策として、財務省は先端技術を用いて貨物確認の効率化を図る。来年2月からスマートグラスを導入して、貨物映像をリアルタイムで遠隔地にいる専門知識や経験豊富な職員と共有し、通話しながら効果的に貨物を確認。このほか、海岸線などの監視を強化するため、水中ドローンが活用できるかどうか検証も行う。また、EC事業者と情報共有を含め協力を進める。
さらに、米中対立が深まる中、軍事転用の恐れがある製品や技術の流失を防ぐ役割も求められている。財務省は東京税関内に「経済安全保障情報分析センター(仮称)」を設置し、経済安保に関わる水際での情報を分析。23年度以降に本格運用し、各省庁をまたいで連携する方向だ。
時事通信