
防衛省は27日、南西諸島の防衛体制を強化するため、与那国島(沖縄県与那国町)の陸上自衛隊与那国駐屯地を拡張し、地対空誘導弾(ミサイル)部隊を配備する方針を明らかにした。与那国島は台湾から約110キロと近く、台湾への軍事的圧力で地域の緊張を高めている中国を念頭に置いた対応だ。青木健至報道官が記者会見で表明した。
防衛省は与那国駐屯地に部隊庁舎や火薬庫などの施設を整備するため、2023年度当初予算案に駐屯地東側の土地約18万平方メートルを取得する経費を盛り込んだ。詳細な土地取得費は明らかにしていない。
与那国駐屯地は16年に設置され、陸自と航空自衛隊の約200人が艦艇や航空機の活動を監視する任務に当たっている。23年度には電磁波で敵の通信・レーダーを妨害する電子戦部隊も新たに配置する。
ミサイル配備に関し、沖縄県の玉城デニー知事は27日の会見で「事前の説明がなく唐突に予算計上された。われわれも厳しい姿勢で臨まざるを得なくなるのではないか」と不快感を示した。
防衛省は南西諸島へのミサイル部隊配備を進めている。宮古島(沖縄県宮古島市)と奄美大島(鹿児島県奄美市)には既に配備済みで、石垣島(沖縄県石垣市)にも22年度中に配備予定だ。
時事通信